理美容業の規制改革 理容所・美容所の重複開設を認める方向で検討(下)

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2015.06.30

編集部

規制改革会議は、理美容業の職務撤廃と合わせて「理髪の施設と美容の施設をそれぞれ別個に設ける」と規定されている現在の理容師法についても、平成28年度から重複開設を容認する方向で検討している。

現在の理容師法では「理髪の施設と美容の施設は、それぞれ別個に設けなければならない」と規定。

このため「美容師の資格者が理容所でカットすることができない」ことや「美容所で理容師が顔剃りのサービスを追加することができない」など理容師と美容師の技術やスキルを生かした店舗運営ができない状況にある。また、理容師の資格を持った者が美容師の資格を取得しようとする場合(又はその逆の場合も)、現行の制度では一部、養成施設での重複課目の履修が省略されるものの、初めて資格を取得しようとするものと同じ課程を修めなければならない。

規制改革会議では、理容所及び美容所の衛生上必要な要件を満たし、かつ理容師及び美容師両方の資格を有する事業所については、3年後にも理容所・美容所の重複開設を認める制度改正を行うことで検討している。また、 両資格の取得を容易にするため今年度から検討を始めており、平成28年度に結論を出す方針。

政府の規制改革会議が理美容の規制撤廃に踏み出したのは、規制という名の法令や制度が時代にあっていないことが背景にある。

美容室でのカット業界の調べでは「男性の約5割、若年層の約7割が美容室を利用しており、消費者側が美容室を選ぶ時代となっている」と指摘。「男性は理容所で理容師にサービスを受け女性は美容所で美容師にサービスを受けるという性別によるサービスの適用は、過去の遺物になっており顧客自らが自由に店を選ぶ時代になっている」と強調する。

すでに理美容の市場規模は、厚労省の動態調査で平成24年度に美容業市場1兆3300億円、理容業6700億円の合計約2兆円市場を形成している。また、平成24年度末の理容施設数は、約13万施設と10年前に比べ約1万減少した。これに対して美容施設数は、23万1000施設、前年比2700施設増加している。しかし、これまで理美容界が率先して構造的な変化に自らが挑戦することがなかった。

規制の撤廃で理美容業界自らがどのような変貌を遂げ成長の軌道に乗せるのか、これからが正念場を迎える。

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