連載・新興市場上場の美容業界各社の経営・事業動向に迫る【6】ユーグレナ、初めて自社開発の化粧品を販売。今期の業績、増収減益へ

2014.10.14

特集

編集部

東証マザーズ上場の株式会社ユーグレナ(東京都文京区)は、微細藻ミドリムシから抽出のエキスを化粧品に活用して商品化したスキンケアシリーズ「ビー・シー・エー・ディー」(写真)を3月から市場投入し本格販売を始めている。同社が自社開発の化粧品を市場で販売するのは初めてのケース。化粧品が事業の柱になるか、注目される。
ユーグレナ「BCAD」写真

同社が商品化して市場投入したのは、洗顔料、化粧水、美容液、クリームの4商品。ビタミンやミネラル、アミノ酸などの成分を含む微細藻ミドリムシから酵素抽出した加水分解エキス「リジューナ」などを配合したもの。

同社はリジューナをはじめ亜鉛酵母エキス、ビフィズス菌エキス、βグルカン、ヒメフウロエキス など5つの素材をナノカプセルに閉じ込めた「ユーグレナ・コンプレックス」と名付けた独自技術を開発して「肌のターンオーバーを改善する働きを見出したことから商品化を図った」としている。

3月からテレビショッピング専門チャンネルなどで先行販売を開始。現在、一部の百貨店や美容室、エステサロン、専用webサイトなどのチャネルでも販売を始めるなど拡販を図っている。
化粧品の売り上げが今期(2014年9月期)の業績にどの程度、反映するか、販売を始めた3月から9月までの6ヵ月間の売り上げについては、現時点で不透明。化粧品が事業の大きな柱と成り得るか、販売の成否を含めて来期に期待するところが大きい。

同社の今9月期業績は、ミドリムシ配合の青汁(サプリメント)やヨーグルトなどのヘルスケア事業(直販)について前期に引き続いて広告宣伝活動による認知度向上、同社サイトへの顧客数と定期購入者の増加などが奏功して売上高は、前期比約5割増の31億1,300万円と大幅に増加する見通し。しかし、利益のほとんどをミドリムシから抽出したバイオ燃料などエネルギー・環境分野に継続投資するため、営業利益が前期比0%、最終利益前期比70%減の純損失を見込む。

現在、同社は、2013年8月期を初年度に2018年9月期を最終年度とする‘5ビー・シー・エー・ディーヵ年経営計画’を推進中。
同計画では、ミドリムシの市場規模を現在の76億円から300億円市場に持って行き、ミドリムシを主体としたヘルスケア事業の売上を150億円にまで高める方針。
この売上目標を達成するため、ペットフードや化粧品など様々なミドリムシ商品をラインナップして流通網の構築を図る。同時に、中国を中心としたアジア戦略を加速する。すでに中国衛生部からミドリムシを「新食品原料」としての登録認可(2013年11月)を受け伊藤忠商事株式会社(東京都港区)などの商社と組んで市場攻勢に打って出ている。

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株式会社ユーグレナ

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