【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【43】ユニクス② ~研究開発、マーケティング等の資金手当てが課題~

2016.12.28

特集

編集部

ユニクスは、会社設立して3ヵ月後の2012年8月に神奈川県から化粧品製造・販売業の許可を受けた。また、人工コラーゲンにナノバブル化した分子状の水素を均一に溶解させた人工コラーゲン水溶液を用途に応じて、組成と濃度を調整するなどして従来の化粧品に比べ大幅に保湿力と抗酸化作用を高めた美容ジュエルを開発し、同年8月に市場投入した。

以降、2013年1月にシート化粧品「美リーフ」をはじめ、コットンやスポンジに化粧水や美容液を含侵させたスポンジ担持化粧品「マカロンパフ」とコットン担持化粧品「うるおいFDコットン」の製造販売を申請。直近では、2015年に保湿ミストの「エイチ・ツー・キューレ」と人工コラーゲン、スクワラン、ヒアルロン酸配合の保湿クリーム「ハナきれい」を開発し、2016年11月に3品目を市場投入した。

製品開発の工程表からみて第1弾(2016年から2019年)を人工コラーゲンと化粧品の開発と規定し、計画通りに一連の化粧品を開発して通販市場で販売を始めた。化粧品事業の業績は明らかでないが、現在の企業収益は、化粧品事業に負うところが大きい。

しかし、ユーザーニーズを反映した革新的な商品を継続的に市場へ供給していくためには、法人を設立して4年を経過した現在においても、研究開発やマーケティング等に係る資金の安定確保は避けられない課題となっている。

同社は「事業を成長企業に乗せていくためには、ある程度の資金確保が必要。そのためには、スポンサーや事業パートナーを見つけることが非常に重要」と指摘。現在、ファンドからの資金調達を目指して奮闘中。

ベンチャー企業に出資や投資を行うベンチャーファンドとベンチャーキャピタル(VC)は、ベンチャー企業の事業成長を判断して事業資金や設備投資資金などに出資・投資を行う。ファンドやVCは、出資・投資の見返りとして、ベンチャー企業の株を投資に見合う価額で取得し株主になる。

ファンドやベンチャーキャピタルがベンチャーに投資するのは、投資したベンチャーが配当還元や将来株式を公開し、株価収益で大きな投資効果を期待してのこと。

だが、ファンドやベンチャーキャピタルから出資・投資を受けたベンチャー企業が、必ずしも配当や上場を実現するとは限らない。投資を受けたベンチャー企業が3年を経過しても業績が向上しない場合、ベンチャーとVCは、投資資金の回収を巡って激しい金の呪縛合戦を展開することになる。

そうした金の呪縛を知りながらもベンチャー企業は、資金を調達して事業を前に進める。上場を視野に入れている同社の投資・出資の動きが注目される。

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