【連載】大手化粧品会社の研究㊵アンファーの会社研究 ~予防医学を企業理念に掲げる、顧問医師団と薬用シャンプー等開発~(上)

2018.07.30

特集

編集部

アンファー株式会社(東京都千代田区、未公開)は、1987年10月に創業。以降、現在は、育毛シャンプー「スカルプD」シリーズや女性向け食品など約100商品をネット通販主体に販売している。 年間の売上高は、グループ全体で約100億円(2017年3月期)と見込まれているが、そのうち、ウェブでの売上が約7割強を占める。
創業以来の事業コンセプトは「すべての人々に美と健康を提供すること」。エイジングケア・ライフスタイルの実現を支援することが狙い。

同社によると「エイジングケア」とは、シワ・シミ・たるみ・毛穴の開き・くすみ・乾燥など加齢による変化を踏まえて肌の手入れをする「年齢に応じた化粧品等によるケアを指す」という。
同社は、加齢に伴う身体や心の変化(同社ではエイジングサインと呼ぶ)に気づいてもらい予防医学の実践と体の変化を未然に防ぐエイジングケアについて「予防医学のアンファー」として企業理念に掲げた(2015年)。また、商品開発にあたっては、抗加齢医学、皮膚科、内科など9医療分野で約17名の医師を顧問に迎え、顧問医師が監修する薬用化粧品、サプリメント、商品説明に際して法的制限を受けない第三類医薬品や康食品等を開発してきた。現在まで、市場に投入した約100商品に上る商品の大部分を医師団との共同開発で実現した。

その中から代表的な商品として誕生させたのがロングセラー商品の薬用シャンプー「スカルプD」である。
同社は、頭皮を専門に扱うクリニックの臨床データに着目し、「データを積み重ねていくと健康な髪のためには、頭皮の環境が大切である」と結論。そこで、ドクターとともに頭皮環境を整えるためのシャンプー開発に着手。スカルプDの商品化に繋げた。
初代「スカルプD」が医療機関向けから一般市場に出たのは2005年が最初。ネット販売で着実にファンを増やし、2008年からは有名芸能人をCMに起用。爆発的な売り上げとなった。現在、東急ハンズ、ロフトをはじめとした全国のバラエティショップ・百貨店などで卸販売している。
スカルプDについては、今もって170万の臨床データを基に約15人のドクターと共同研究を続け毎年、リニューアルを重ねている。
毎年、リニューアル化していることには、2つ理由がある。1つは、常に最先端のものを顧客に提供するため。2012年版には、約4年かけて独自開発した界面活性剤「アミノウォッシュプラス」を洗浄成分として配合したり、4つの頭皮ケア成分を含んだナノカプセルを配合したりしている。リニューアルの第2点は、常に他社の先を行くため。毎年新しい「スカルプD」を投入することで、差別化を図る狙い。ともあれ、医師団との合従連衡による共同開発体制は、業界でも異彩を放つ。

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