【連載】大手化粧品会社の研究(76)ネイチャーズウェイの会社研究 ~オーガニックコスメの橋頭保を構築~(上)
2019.02.12
編集部
株式会社ネイチャーズウェイ(愛知県名古屋市)は、1974年に前身の株式会社ナチュラルコスメチックスを設立。英国の食品展示会で、キッチン生まれの手づくり製法化粧品「サンダース・ベリー」に興味を持ちこれを契機に、日本に輸入・販売したことが事業の始まり。以来、100%自然素材のメイクブランド「ナチュラグラッセ」の開発・販売を一貫して手掛け現在では、自然由来の成分を配合した「ナチュラルオ―ガニックコスメ」メーカーとしての地保を確立した。
同社が化粧品開発にあたってこだわっているのが植物オイルや植物エキス、エッセンシャルオイルなど自然由来の原料選び。
原料を配合するにあたって成分基準を設け、パラベン、タール色素、シリコン、鉱物油、紫外線吸収剤を使用せずに品質を保持できる処方を研究し、肌に負担のかかりにくい成分を採用するなどして製品化している。また、自然由来原料は、空気の影響を受けやすいため、容器を選ぶ際も逆流防止弁を採用するなど製剤が空気に触れないための工夫も行っているため、製品の品質と安全性の要である安全性試験や防腐試験に加えて自社工場での汚染が考えられる臨床分離菌に対しても評価試験を実施している。
このような品質・信頼性テストをクリアした中からモニター評価試験を行い、安全性や肌への効果が認められたものだけを最終処方として製品化している。
現在、品質・安全評価試験等に合格して市場に投入・販売している主な化粧品は、キッチン生まれの英国産手作り化粧品「サンダース・ベリー」やスイスヴェルタ社の人気オーガニックコスメ「ヴェレダ」を輸入販売している。
サンダース・ベリーの輸入販売は、関連会社の「株式会社サンダース・べリー化粧品(東京都渋谷区)」が担当。また、ヴェレタの輸入販売は、関連会社「株式会社ヴェレダ・ジャパン(東京都渋谷区)」が担当。それぞれの輸入化粧品は、直営店13店舗と国内の百貨店やセレクトショップ等で卸販売している。
自社開発の主な「ナチュラルオ―ガニックコスメ」として、国内エステ・アロマサロンなどプロ向け用の「バイオラブ」をはじめ、100%自然素材でメイクでありながらスキンケア仕立ての「ナチュラグラッセ」や無農薬ハーブエキスを使った「チャントアチャーム」、それにオーガニックコスメ「オーフェル」などがある。直近として2018年にエイジング化粧品「オーフェル」を投入。いずれのオーガニック化粧品は、直営店舗や通販市場に投入し、販売している。通販については今後、各ブランドの特色を活かした販売戦略を行っていく方針。従来は、1つのショッピングサイトに各ブランドを展開擦る形態を採っていたが、ブランド毎にショッピングサイトを独立。各ブランドに合わせたサービス提供や顧客フォローによってロイヤルカスタマーの増加を図る。
ところで「オーガニックコスメ」と「ナチュラルコスメ」は、どちらも植物由来のコスメを指す。オーガニックコスメと名のれるのは、オーガニック認証を受けた成分を一部でも配合したものだけが名乗れる。
オーガニック認証は、植物を育てる土壌から製品の製造工程に至るまで、環境や生物への負荷を最少に抑えたオーガニック(有機栽培)製法で作られた製品であることを証明したもの。認証基準は各団体によって異なるものの、その多くが「完成した製品の成分の95%以上がオーガニック認定成分である」などといった厳しい審査基準があり、その基準をクリアしたものだけが認証マークをつけることができる。
一方「ナチュラルコスメ」は、オーガニック製法で作っていなくとも植物エキスな自然由来の成分を配合していれば「ナチュラルコスメ」と名乗ることができる。
同社は、創業45年にしてオーガニック化粧品の橋頭保を構築し、オーガニック化粧品を消費者に認知されるなどその存在感を増している。