【連載】大手化粧品会社の研究(78)サティス製薬の会社研究 ~工場買収・4肺体制に、資本業務提携も推進~(下)
2019.02.26
編集部
化粧品OEMメーカーのサティス製薬は、この1年の間に工場の買収や資本業務提携など事業の拡大に向けた動きを活発化している。
同社は、2018年10月にガイア・エヌピー株式会社(東京都渋谷区)の化粧品製造工場をM&Aにより入手した。これにより、同社の生産体制は国内4工場となり、生産能力は1.5倍に拡大した。 M&Aの金額、条件等は、非公開。
現在、国内化粧品市場は、インバウンド需要に支えられて拡大傾向にあり、国内大手メーカー中心に生産能力が限界に近づいている。大手各社は、供給不足に陥らないため一部、製品の開発・製造を委託する動きが活発化している状況。
これらの影響で、化粧品OEM市場も拡大の一途を辿っており、OEM製造会社では増え続ける受注に対して生産設備と人材の不足が大きな課題となっている。
同社も生産事情は同じで、設備と人材の不足が直近の課題として浮上、増え続けるOEM生産量に対して限られた生産体制の中で対応していた。
そこで生産能力を拡大することを目的に、新たにガイア・エヌピーの化粧品製造工場をM&Aで買収して生産能力拡大に踏み切った。
同社は取得した工場にバルク製造装置と自動生産ラインを新規導入し、大量受注品の専用工場として運用。また、本社工場は、小ロット受注品の工場とした。
一方、同社は、ヘアケア商品「メディラ」を展開する株式会社スパーティー(東京都渋谷区)とサティス製薬を引受先とする第三者割当増資を実施するとともに、製造販売の見直しと再構築を目的とした資本業務提携(2018年11月)を交わした。
スパーティーは、2018年5月からメディラについて100以上の組み合わせから一人一人に合わせて成分をブレンドし、2カ月ごとにその人に合ったシャンプー&トリートメントを届ける定期便サービスを展開してきた。
しかし2018年11月に製造販売元の会社が、化粧品製造許可・化粧品製造販売業許可を取得していないことが判明。1ヵ月間、製品回収、返金に迫られた。
こうしたスパーティーの状況を踏まえてサティス製薬は、リスクを承知の上で、メディラの販売再開と製造を快諾し資本業務提携を交わした。
今回はマイナー出資のため、これまで同様に、スパーティーが独立して経営を行っていく。一方で、資本提携を行うことで、サティス製薬との間で、処方開発に加えて製造フローの見直しや安定供給に向けた取り組みなど多岐に渡る共創関係の構築を目指す。