企業の肥満対策には「お金」が一番!?
2013.08.22
編集部
国民の肥満率が30%を超えるという「肥満大国」アメリカでは、肥満をはじめ、高血圧、高血糖などのいわゆるメタボリックシンドロームの社員に対してペナルティを課す企業も多い。健康リスクの高い社員が、企業の経営効率を下げ、健康保険の企業負担を上げるという理由からだ。例えば、太りすぎの度合いによって給料から一定金額を差し引かれ、企業の提供する有料の健康プログラムへの参加が義務付けられる。減量に成功するとプログラム参加費が払い戻され、毎月差し引かれていた「ペナルティ」がなくなるといった具合だ。
これらの背景から、米国では効果的な健康プログラムの研究が進んでおり、今回、労働者の減量には「お金」が効果的という研究結果が医療経済学の学術誌「The Journal of Health Economics」9月号に掲載された。
テキサス大学の経済学助教授らによる、24の事業所で2635人の従業員を対象に実施されたこの研究では、返金やペナルティのある健康プログラムよりも、金銭的インテンシブのある健康プログラムへの参加者で良好な体重の減少が見られたという。これは、肥満への課金ではなく、減量に成功した場合に報酬を与えるというもの。従業員のメタボリックシンドローム対策には、「お金」が非常に効果的と研究者らは述べている。
日本においても企業の肥満対策は急務である。5日の読売新聞には「肥満増えたら社食に保健所が指導…15年度から」というタイトルの記事が掲載された。厚生労働省は文部科学省などと連携、肥満ややせの割合が増えた学校給食や社員食堂の提供・運営施設に対し、保健所の管理栄養士が直接指導、改善要請できる制度の全国実施を2015年度から導入する。
この制度により、企業にとっては、健康診断の負担のほか肥満ややせの人の割合を示したデータの提出も義務となり、今後は米国のように「ペナルティ」や「インテンシブ」のついた健康プログラムの導入に進むのかもしれない。