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㉑AI・AR技術と仮想メイク(下)~美容家電のパナもメイクデザインに参入~

仏ロレアルは、バーチャルメイクで商機拡大に打って出ているが、国内の化粧品各社等も仮想メイクサービスを活発化させている。

花王株式会社(東京都中央区)は、スマホやタブレット端末で撮影した顔写真を顔立ちや骨格、髪の長さ等についてAIが分析するサービスをヘアスタイリングブランド「リーゼ」のウェブサイトで行っている。全600通りのバリエーションの中から、ヘアスタイル・ヘアカラーをパターン提案するもの。

美容家電に力を入れるパナソニック株式会社(大阪府門真市)は、デジタルカメラ等で培った画像認識・画像処理技術を活用し、顔写真の上にタッチペンを用いて実際にメイクをする感覚でメイクのデザインを行うことができる「メイクアップデザインツール」(写真)を開発した。
同社は、デジタルカメラ等で培った画像認識・画像処理技術を活用して開発したもの。同ツールは、アナログ技術である“メイクアップ”をデジタル化し顔写真の上にタッチペンを用いて実際にメイクをする感覚でメイクのデザインを行うことができる。いわば、プロ仕様のメイクをデジタルで自由に描けるもの。また、顔認識の技術により、デザインしたメイクをさまざまな顔写真に載せ替えることができる。動画シミュレーションモードでは、カメラで撮影した任意の顔の上にもメイクを載せることが可能。
同社は、化粧品カウンターでのビューティアドバイザーと顧客との間のコミュニケーションツール、フォトスタジオや結婚式場、美容サロンでのメイクアップ提案、美容スクールの教材作成やメイクアップ技術のトレーニング等に活用するなどの目的で、拡販を図っている。

株式会社資生堂(東京都中央区)ジャパンは、I0Tスキンケアシステム「オプチューン」を開発した。同システムは、自分のスマートフォンで肌を撮影するだけで、きめ、毛穴、水分量などの肌の状態を知ることができる。アプリで測定した肌データと気温・湿度などの環境データ、生理周期・気分・コンディションのデータなど、一人ひとりを知るためのさまざまなデータを収集・分析し、そのときどきの肌に必要なスキンケアのパターンを決定する。

株式会社コーセー(東京都中央区)は、AIを活用したパーソナルカラー判定サービスを導入し、判定結果に基づいた一人ひとりに似合う商品提案を行う新サービス「バンカラ」も提供・サービスに乗り出している。

ただし、AIによる肌診断を本格的にスタートした化粧品企業は、多くはない。だが、肌の質感、シミ、しわなどをより精密に分析できるAIの開発が進んでおり、ユーザーにとって当たり前のサービスとなる時代は、そう遠くない。

すでに、SNSの発達と浸透により、消費者はどこに居てもどんな時間でも必要な情報とサービスにアクセスできることに慣れている。店頭まで出向いてメイク指導や肌診断を受けることを面倒に思っていた層に仮想メイクがアピールするのは間違いない。それは、新しい市場の開拓にもつながることを予兆せざるを得ない。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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