【連載】この中小化粧品会社に注目⑥ヤマサキ(上)~会社創立50年、売り上げ50億円目標~
2020.08.17
編集部
化粧品メーカーの株式会社ヤマサキ(広島県広島市)は、今年(2020年4月)で会社創立(1870年)50年を迎えた。同社は、創業者で現社長の山崎宏忠氏個人が業務用洗剤の訪問販売を主体に事業を開始したのが起源。以降、化粧品製造を手掛ける中で仏・ブルターニュ産の海藻エキスに出会い、植物エキスと配合するなどして「ラサーナ・海藻ヘアエッセンス」を開発、ヘアケア市場に投入(1979年)した。
これを契機に、全国のドラッグストアやバラエティショップ、インターネット・通販等でラサーナシリーズの需要が急増、一挙に業績が跳ね上がった。
今年で主力ブランドの「ラサーナ」を市場に投入して20数年を経過したが「洗い流さないトリートメン」として認知・定着している。
だが、市場投入当初、山崎代表は「少量で価格も高いし、売り場でも目立たない」という理由から店舗に置かせてもらえなかったと」50年会社史の中で述懐している。
そこで戦術を変えて「商品を扱ってもらう代わりに店づくりの強力として全国1万5000店のドラッグストアに直接、働きかけて店舗でのサンプリングに力をいれる」新手の商法を編み出した。
消費者に近い立場で、顧客に直接、商品の魅力や価値伝えることで市場での反応、ニーズの分析等をデータ化するなどして提案をおこない、商品の訴求力を高めた。また、製品の試供品を年間3000万包以上、チラシに添付して配布するという販売戦略を取っており、店頭販売においても社員が随時、サンプリングしている。
同社の売上高(表参照)は、この10年間平均40億円をキープしている。広島、東京、大阪の本社、支店を拠点に目標売り上げ50億円を目指す。また、社員とパート合わせた従業員数は、2020年4月現在、約275名に上る。
中小化粧品メーカーが外部からの問い合わせに一切応じず、売上高、社員数を非公開としている企業が多い中で、業績等を明らかにしている企業は、極めて珍しい。
その要因として社員のエンジンを推進力とした結束力と社員の働き改革を基盤とした醸成力に追うところが大きい。