【連載】この中小化粧品会社に注目⑦ルアン(上)~革新的増毛法に頭髪業界注視~
2020.08.24
編集部
「髪を生やすのではなく瞬時に髪が増えたように見せる」―。こんな、かつらでも育毛剤でもない全く新しいスタイルの増毛法を頭髪用化粧品メーカーの「ルアン株式会社」(群馬県前橋市、東京都中央区銀座の2本社制、創業1973年)が開発した。これまでの概念とは違う革新的な商品の登場に頭髪業界は一様に驚きを隠さずに今後の需要動向を注視している状況にある。
同社が「スーパーミリオンヘアー」(SMH)を開発し市場に投入したのは、1986年。以降、34年経った現在では、国内において全国の理容・美容室、ドラッグストアー、薬局・薬店、化粧品店等の取扱店や同社オンラインショップ及び世界70以上の国と地域で輸出・販売するなど国境を超えた広がりを見せている。
SMHは、原料が土や海中に溶ける環境に優しい生分解性プラスチック。SMHの容器の吐出口から放射される黒い粉は、天然の繊維物質であるセルロースを活性化(カチオン化)した。また、セルロースを0.3㎜~0.5㎜の微細な繊維に特殊加工して人工毛とし、髪の毛や頭皮に付着させることで、増毛したようにみせて薄毛を解消する。さらに、風や水にぬれて黒い粉が飛散または流れ落ちないよう固定化する目的で、専用のヘアスプレーやヘアミストを開発しSMHと一緒に使用する。
このSMH専用のヘアミストは、有効成分としてヒノキチオールやセンブリエキス、ニンジンエキスなど育毛・抜け毛予防等に有効な成分を配合している。
同社は、SMHの拡販を促進するため、商品のプロモーション活動の一環として全国ネットのTVCMを放映して商品の訴求力を追求。また、国内のみならず、代理店を通じて海外輸出を強化し、毎年、国際展示会に出展するなどして国際的なレベルで、普及啓発を図っている状況にある。
ともあれ、育毛剤でもない、かつらでもない新しい革新的な整髪剤の登場に頭髪・かつら業界は、少なからず驚愕を持って注視していることは否定できない。
今後、SMHが頭髪の全体市場にどのような具体的な影響を及ぼし、市場を侵食していくのか、展開が注目されるところだ。