株式会社バスクリン（東京都千代田区）と広島大学大学院医系科学研究科皮膚科 秀道広教授の研究グループとの共同研究により、アトピー性皮膚炎患者がタンニン酸を配合した入浴剤を2週間使用することで、かゆみ抑制効果があることを実証したと発表した。同研究成果は、2020 年第 3 号の日本皮膚免疫アレルギー学会欧文学会誌（JCIA）に掲載されている。

汗はアトピー性皮膚炎に対して悪化因子として作用し、顔や肘の内側、膝の裏側など、汗をかきやすい、あるいは汗がたまりやすいところに症状（即時型アレルギー反応）が現れやすいことが知られてる。
そこで、植物成分の中から汗中の抗原（アレルギー反応を起こす原因物質）を中和させる成分を探索したところ、タンニン酸が優れた効果を持つという知見を得た。

今回、タンニン酸のアトピー性皮膚炎に対する効果を検証するため、「タンニン酸を配合した入浴剤」と「タンニン酸を配合しない入浴剤」によるクロスオーバー二重盲検試験で実施。

その結果、「タンニン酸配合入浴剤」使用時は、「タンニン酸を配合しない入浴剤」使用時に比べ、軽症から中等症の患者の夜間におけるかゆみの有意な低下を確認した。また、「タンニン酸配合入浴剤」使用後のアトピー性皮膚炎の症状は、改善 15 例、不変 5 例、悪化 1 例で、症状スコアの有意な低下（改善）を示した。

手軽に使用でき、嗜好性に優れたタンニン酸配合入浴剤であれば、継続的に使用されやすく、他の治療と併用することも容易で、アトピー性皮膚炎の症状改善に役立つことが期待できるとの見解を示している。