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(79)アリミノ/下 ~美容室向けコスメ開発に力~

アリミノがヘアケア商品など美容室向けコスメのパイオニアとしての存在感を高めた原動力は、同社の総合研究所(埼玉県比企郡)による技術開発力に負うところが大きい。

この1-2年間に同研究所が開発した主な技術として「手肌に優しいシャンプー」や「頭皮臭の仕組みとその抑制方法」などがある。

「手肌に優しいシャンプー」の開発は、理美容師や一般の生活者にとって手荒れ、頭皮のトラブル等に悩んでいることからシャンプーの主成分である各種界面活性剤を網羅的に調査するとともに、刺激を低減させる成分の探索を行った。

網羅的調査では、シャンプーに含まれる界面活性剤の違いによりタンパク質への影響が大きく異なることを確認。また、界面活性剤によるタンパク質への影響を抑制する成分についての探索をおこなった。

その結果、アスパラギン酸・グルタミン酸・アセチルヒドロキシプロリン等の一部のアミノ酸に高いタンパク質への影響を抑制する効果を確認した。「これらのアミノ酸をシャンプーに配合する事によってシャンプーの刺激を抑制する可能性が示唆された」としている。

一連の試験で判明した研究成果を基にモデルシャンプーを作成し、その刺激性を皮膚の角質層への影響、および肌の水分量・水分蒸散量で評価し。その結果、従来のシャンプーに比べモデルシャンプーでは、角質層の損傷が少なく、水のみで洗ったものと同程度であること。肌の水分量および水分蒸散量を比較した場合、モデルシャンプーは水のみの場合と同程度の値を示し、シャンプーの使用による影響が非常に少ないことが判明。

同社では「一連の知見を応用することにより、手肌や頭皮への負担を限りなく抑えたシャンプーの開発が可能になった」としている。

ここへきて同社は、創業70周年を契機に今よりももっと新しいイノベーションに挑戦していく。

1つは、アジア各国にもアリミノの製品を広げていく計画。海外に進出していく上で、自社製品は「ジャパンクオリティ」を名乗っても恥ずかしくない品質になっているか、もう1度見つめ直して改善を図っていく。もう1つは、今まで以上に美容業界のために貢献できる会社になること。そのためには、社員が自信を持って働ける会社づくりを目指す方針。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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