9月の美容室倒産は12件 前年同月比の4倍に増加
2021.10.18
編集部
東京商工リサーチ(東京都千代田区/代表取締役社長:河原光雄)は10月8日、2021年度上半期(4-9月)の美容業(美容室)倒産(負債1,000万円以上)は、37件(前年同期比5.1%減、前年同期39件)だったと発表した。
コロナ関連の資金繰り支援策で企業倒産が大幅に抑制されるなか、美容室の倒産は微減にとどまったとしている。
しかし、9月の倒産は12件(前年同月3件)と前年同月の4倍に増加し、うち新型コロナウイルス関連倒産が半分の6件を占めた。コロナ禍の長期化や夏場の感染拡大が、美容室の経営に大きな打撃を与えているという。
美容室の経営悪化について同社は、「2021年度上半期(4-9月)は、延長と再発令が繰り返された緊急事態宣言とまん延防止等重点措置により、多くの美容室が客足の減少に直面した。美容室は緊急事態宣言などに伴う休業要請の対象外だったが、密になりやすい業態で、感染を懸念した『美容室控え』が広がった」と分析している。
東京商工リサーチが今年8月に実施した「新型コロナに関するアンケート調査」では、「債務に過剰感がある」と回答した美容室の割合は85.7%にのぼった。
このことについては「コロナ禍での売上減少と過剰債務のなかで、客足が不安定な美容室の倒産は支援策の終焉とともに再び、増加に転じる可能性が出ている」と述べている。
また、2021年度上半期(4-9月)の美容室の倒産件数の理由を見てみると、新型コロナウイルス関連倒産は11件で、構成比では約3割(29.7%)を占めた(図1)。
一方、「不況型」倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は34件(同8.1%減)で、美容業倒産に占める構成比は91.8%にのぼり、体力の脆弱な事業者の多さを示した(図2)。
なお、この調査の詳細については、https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20211008_05.htmlで確認することができる。