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東南アジアと中国における使い捨て衛生用品の成長とトレンド

世界の小売向け使い捨て衛生用品市場の規模は、2021年に1120億米ドルとなり、2026年には1290億米ドルに達するという予測を市場調査会社ユーロモニターインターナショナルはこのほど発表した。アジア太平洋地域は、2021年の世界の小売売上の40%以上を占めるほどに成長しており、中でも中国と東南アジア市場の成長が著しい。

アジア太平洋地域における小売向け使い捨て衛生用品の売上最大カテゴリーは、金額・数量ともに生理用品と分析されている。東南アジアでは、12〜54歳の女性人口が2026年までに1億8900万人に達すると見込まれており、生理用品カテゴリーは2022年から2026年にかけて年平均成長率5%で成長し、市場規模は19億米ドルに及ぶと予測されている。一方、中国の生理用品市場は、好まれる製品タイプであるナプキン(パッド)の一人当たりの消費量がすでに高いことや、人口の高齢化など、多くの課題に直面していることから、より価格の高い製品への買い替えやプレミアム化などによる穏やかな成長にとどまるだろうと予測されている。

最近の傾向として、女性用衛生用品から発生する廃棄物に対する消費者の関心が高まり、より持続可能な代替品の必要性が言及されている。ユーロモニターインターナショナルが2021年に実施した「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ヘルスアンドニュートリションサーベイ」によると、中国、インドネシア、タイの回答者の21%が再利用可能な下着を使用するようになり、8%が再利用可能なナプキンを使用していることが明らかとなった。再利用可能な製品に切り替えるにはコストが懸念されるものの、環境に配慮した持続可能な選択肢を求める消費者が増えている。ベトナムでは、現地ブランドの「Green Lady Vietnam」が、環境に配慮する若い消費者をターゲットに、再利用可能な生理用品を販売している。また、中国のランジェリーブランド「NEIWAI」や「Uniqlo(ユニクロ)」は、使い捨て製品に代わるものとして、洗濯できる吸水型サニタリーショーツを発売したという。これらの製品の売上は使い捨て製品に比べてまだ小さいものの、再利用可能な代替品への関心度を表している。この傾向は、使い捨ての生理用品を扱うブランドにとって、環境に優しい消費者層に響く革新的な製品やパッケージを通して持続可能性の問題に取り組むという、課題と新ビジネスの機会をもたらすようだ。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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ヴァレリー・康子

顧問記者(国際ビジネス、マーケティング)

Yasuko Valery/早稲田大学大学院卒。英インデペンデント新聞社東京支局オフィスマネージャーを経て、日本経済新聞社ロサンゼルス支局で米国西海岸の流通、産業分野を専門に記者経験を積む。本紙では主に、米国欧州の海外メーカー、ブランドの動向、海外市場の動向、新規ビジネスモデルなどを担当。現在はロンドンに在住

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