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飲む日焼け止めだけじゃない──「食べるUVケア」の健康・美容連動戦略

UV対策市場が拡大を見せるなか、美容業界はどのようにその潮流と向き合うべきか。最新の科学的知見と市場データから、その可能性と戦略を探る。

紫外線(UV)は皮膚の光老化を促進する最大要因の一つとされ、しみ・しわ・たるみの原因となる光老化の約80%は、日常生活における紫外線暴露によるものであると言われている。この常識に対し、近年では「内側から紫外線に強い肌をつくる」アプローチが拡大している。塗る日焼け止めに加え、飲むタイプのサプリメントや、抗酸化成分を意識した「UVケア食」の摂取が若者を中心に浸透。とくに美容意識の高い層やインナーケア志向の高まりとともに、食べて守るという新しい価値観が注目を集めている。

「食べる紫外線対策」は、いわゆるトレンドワードではない。

実際に複数の研究成果によってその有効性が報告されている。以下は業界注目の代表成分と、機能性の根拠である。

①アスタキサンチン

鮭や海老に含まれる赤い天然色素で、カロテノイドの一種。ビタミンCの約6,000倍ともいわれる非常に強力な抗酸化力を持ち、紫外線による肌の炎症やダメージを防ぎます。近年の国内外の研究では、「肌の弾力アップ」や「UV照射後の肌の回復を早める」効果が報告されており、エイジングケア成分として注目を集めています。

②リコピン

トマトの赤い色のもとになっている成分で、紫外線によって体にできる“肌のサビ”のような有害物質(フリーラジカル)を取り除く力がある。これにより、肌の老化やダメージを防ぐ効果があるとされている。

③ビタミンC・E

塗るケアだけでなく、食品やサプリからの摂取でも、体の内側から肌を守る力を高めます。
ビタミンEは細胞膜の脂質が酸化して傷つくのを防ぎ、ビタミンCはハリのもととなるコラーゲンの生成を助けながら、シミの原因となるメラニンの過剰な生成を抑える働きがあります。
④ポリポディウム・レウコトモス(シダ植物抽出物)

中南米原産のシダ植物から抽出された天然成分で、「飲む日焼け止め」として知られるサプリメント「ヘリオケア」などに使用されています。紫外線によって起こる肌のDNAダメージや赤み・炎症を抑える効果が、複数の臨床研で報告されており、体の内側から肌を守る成分として注目されています。

美容業界が取るべき戦略は、スキンケアから「インナー×アウター統合型」へ美容業界にとって、「食べるUVケア」浸透はインナーケア領域との本格的な接続点である。

美容業界にとって、「食べるUVケア」の浸透はインナーケア領域との本格的な接続点である。

今後注目される展開

①スキンケアブランド × 栄養設計のサプリメント共同開発(例:DHC、FANCL)

②ビューティサロンでのインナーケア提案(紫外線対策ドリンクの提供など)

③季節型美容から通年の体内調整型美容へのパラダイムシフト

④管理栄養士や皮膚科と連携した店舗型カウンセリング

肌に塗るだけでは語れない時代に突入した今、美容業界が「自分を整える」という価値観に寄り添えるかどうかが、ブランドの競争力に直結するだろう。

「UV対策=外から守る」という従来の常識はすでに過去のものとなりつつある。
今、美容市場では「塗る・飲む・食べる」が統合された複層的なケア戦略が求められており、インナーケアの位置づけは補完ではなく「主戦力」へと変化している。企業にとっては、単なる成分訴求ではなく、内外一体型ソリューションとしての提案力が問われる時代。スキンケア、栄養、医療、ライフスタイルが交差するこの分野は、異業種連携と体験価値の設計によってこそ差別化が図れる。「食べるUVケア」は、単なる一ジャンルではなく、美容と健康の垣根を超えた次世代ビューティ戦略の起点となるだろう。

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