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ホテル×ウェルネス経営の新潮流を創る若き指揮者 ― Émilie Viretの実践知

Émilie Viret は、ウェルネスとホスピタリティの世界において模範的な歩みを体現している人物です。彼女は現在、Mont Ventoux の麓に位置する Clos Saint Michel において、高級スパの統括とホテル運営を兼ね備えた稀有な役職に就いています。

Émilieのキャリア形成と専門性の進化

幼い頃からÉmilieは美容分野で働きたいと考えていました。一般的な資格取得の道をたどり、CAP そして BP Esthétique を取得したのち、自身の施設を開業し、三年間運営しました。より専門性を高めたいという思いから事業を手放し、身体のケア技術に特化する道へ進みます。その後も継続的に研修を受け、温泉療法施設やウェルネス拠点で経験を重ね、常に卓越を目指してきました。

自然な流れで全体経営へ

六年前、Émilieは野心的な新施設プロジェクト「Clos Saint Michel」の存在を知ります。建設中の段階で、施設内にウェルネススペースを組み込む構想がありました。Émilieは施術メニューの設計とスポットでの業務参加を提案します。

まもなく、彼女の厳密さと向上心の強さがオーナーに評価されます。Émilieは新しい物語性をもったメニューの再構築を任されました。モン・ヴァントゥ、自然、スポーツを軸にした内容で、施設のアイデンティティにも合致していました。彼女は学び続けながら、施設の発展にも一層深く関わるようになります。やがてÉmilieは現場の統括役となり、人材採用を進めるほか、ホテル側の経営にも伴走します。施設の成長に伴い、ホテル運営全体の管理も担うようになりました。現在は稀有な横断的な役職に就き、ウェルネス領域とホスピタリティ双方を統合的な視点で指揮しています。

Clos Saint Michelに見るハイブリッド型ウェルネス施設の成長モデル

Clos Saint Michel は一般的なホテルとは異なります。当初はゲストハウスとして構想されたものの、その後形を変え、客室、ジャグジー付きスイート、ロッジ、さらに今後新たな宿泊コンセプトの導入が予定されたハイブリッド型施設へと進化しました。飲食空間も独自に設計されており、場の個性を形成する要素になっています。多様な要素を備えながらも、チームは少数精鋭で結束を保っています。

Émilieにとって、この人的要素は大きな強みです。全員が主体的に関わり、提案が自由に行き交い、発想が素早く具体的な行動へと転化します。その象徴的な例が苺の季節です。ウェルネス、バー、レストラン、運営部門などあらゆる部署が苺をそれぞれの提供内容に取り入れ、統一感のある感覚的で記憶に残る顧客体験を創り出しています。

人を中心に据えたマネジメント

ホテル業界でもっとも頻繁に見られる課題の一つは、ウェルネス領域における特有の問題が理解されにくい点です。二つの視点を持つÉmilieはその現実をよく把握しています。性質が大きく異なる職種に同一の管理ルールを適用するのは非現実的だと考えています。

彼女の解法は、メンバーそれぞれの個性と能力に合わせ、成長しやすい職場環境を整えることです。例えば、共感性の高い技術者は物販提案を苦手とする傾向があります。この課題に対しÉmilieは、施術終了後に十五分の追加時間を設けました。この時間は片付けではなく個別提案のために確保されており、計画表に組み込まれています。これにより顧客との関係がより深まり、質が向上する一方で、物販収益の改善にもつながっています。

この仕組みは、施術者の過剰な業務負担を避ける意図もあります。メンバーは複数業務を横断し、連続した身体施術による疲労を回避しています。ポジションはチームの状態と意向に応じて柔軟に調整されています。

未来志向と革新性に根差した展望

Émilieは明確に未来を見据えています。「家族としっかり関わりながら、誕生の瞬間から関わってきた企業にも貢献していきたいと思っています。Clos Saint Michel は絶えず進化し続けていますし、私は変化を好みます」と語ります。

Émilieは、ウェルネス領域がホテル全体の価値向上と収益性向上に寄与すると考えています。理想は、来訪者を「ホテルとウェルネスが別々の存在としてではなく、施設全体として受け入れる」ことです。

今後の計画も多岐にわたります。イベント企画、長期滞在型ウェルネスプログラム、スポーツ滞在などが予定されています。目標は Clos Saint Michel をより刺激的で生命力のある革新的な場所へと成長させることです。

Meilleur Soin Signature受賞がもたらしたブランド価値と販売効果

「Meilleur Soin Signature」トロフィーへの挑戦は、Émilieにとっても施設にとっても試練でした。「L’âme du Clos Richesse de nos Terres」で銀賞を受賞したことにより、この施術はメニューとギフトボックスで大きく打ち出されました。現在ではこの施術がまず選ばれるほどの人気となり、母の日シーズンには特に成功を収めました。

現場経験と自己成長が育てるウェルネス経営人材の条件

将来責任者を目指す人々に対しÉmilieはこう助言します。「継続的に学び、枠を設けず、英語力を高めてください。私たちの領域では英語が軽視されがちですが極めて重要です」。また自己成長の重要性も強調します。「この仕事には高い傾聴力が求められるため、自分自身への取り組みが不可欠です。自信を持ちつつも驕らず、状況に応じて柔軟に対応できる力が必要です。専門性は教室だけで身に付くものではなく、現場と経験が育てるものです」。

さらに財務運営の理解も欠かせないと続けます。「現場を統括するには、予算の読み解き、収益性の計算、戦略判断が求められます」。

Émilie Viretは、実務的な精度、人への理解、戦略的な眼差しを兼ね備えた新世代の責任者像を体現しています。ウェルネスとホスピタリティに関わるすべての専門職にとって、刺激と指標となる存在です。

Inner Beauty Award 2025 ―受賞商品発表―

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Galya Ortega

Galya Ortega

スパ&ウェルネス コンサルタント

フランス・パリを拠点に活動するセラピスト、30年以上にわたりスパや化粧品ブランドの人材育成およびコンサルティングに携わる専門家です。心理学やマッサージ技法、音響療法を研究し、世界各地の伝統療法を融合。著書『Ma Bible des Massages』のほか、美容業界専門誌『Les Nouvelles Esthétiques』にも寄稿しています。

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