2025年、世界の美容市場は成熟と再編の波のなかで、新たな消費価値を模索している。
そんな中、注目を集めるのが、単なる“機能コスメ”ではなく、“動くライフスタイル”に寄り添う新カテゴリー。アスレジャーコスメ。冬の乾燥・冷気・汗・肌ストレスといった過酷な“肌環境”に対応することで、単に「保湿」や「美肌」を叶えるだけでなく、「動きや生活」と「肌ケア」を統合する新しい価値を提供する、このコスメ領域の可能性を、2025年末の最新市場状況から読み解きたい
2025年の美容市場とアスレジャーコスメの現在地

2025年時点で、世界のスキンケア市場は依然として成長を続けており、今後2030年にかけて6〜7%程度の年平均成長率が見込まれている。また、国内市場でも同年、化粧品市場全体の拡大が予測されており、高機能・高付加価値製品への移行が明示されている。
そんななか、2025年の美容トレンド予測でも、“アスレジャーコスメ”や“過酷環境コスメ”といったキーワードが掲げられており、「動く人の肌を守る」機能性コスメの需要拡大が注目されている。
特に、汗・皮脂・冷気・乾燥・摩擦など、多様なストレスが肌にかかる「動きと環境変化」が当たり前となった生活者が増えたことで、このカテゴリーの現実味が高まっている。
つまり今、アスレジャーコスメは“未来のニッチ”ではなく、“成長を牽引する有力な市場カテゴリー”として、業界内でも再評価されつつある。
冬シーズンד動く肌”――ニーズ拡大の背景と消費者インサイト

冬は“乾燥” “冷気”“空気の乾燥による水分蒸散”が肌の大敵だ。加えて、ホットヨガ、ジム、ランニングなどの運動や、通勤・通学での外出、寒さでの皮膚の冷えなど。肌を取り巻く環境は複雑。
このような“動く”ライフスタイルを送る層からは、従来の保湿中心ケアでは追いつかない、「環境適応型・高機能ケア」への期待が高まってきている。実際、2025年秋冬のスキンケア最前線では、“発酵コスメ”“環境適応型スキンケア”への関心が急上昇している。
また、消費者の価値観も進化。もはや「ただ潤う肌」では満足せず、抗酸化・バリア強化・持続性・成分安全性・生活との親和性を重視する傾向が強い。これは、2025年に重要視されている「クリーンビューティー」「パーソナライズ」「ウェルビーイング」への志向と重なる。
こうした背景は、冬 × 動き × スキンケア という“複合的ニーズ”を、アスレジャーコスメが満たす絶好のチャンスであることを示している。
ブランド/企業にとっての勝ち筋:2025年末から2026年にかけて押さえるべき戦略

(A) 高機能性 × 環境配慮(クリーン・サステナブル)
2025年は、消費者の間で「クリーンビューティー」「成分の透明性」「持続可能性」への意識が強まっており、化粧品企業にはサステナビリティ対応が求められている アスレジャーコスメにおいても、汗・皮脂・環境ストレスに耐える“高機能処方”に加え、環境・倫理・持続可能性を兼ね備えた素材/パッケージ設計は、ブランドの差別化とファンの獲得につながる有力な軸となるだろう。
(B) “ライフスタイル共感”としてのブランディング
単に「運動後の肌を守る」ではなく、「動き・健康・ライフスタイルを楽しみながら、美しさも維持する」というライフスタイル提案型のブランドとして位置づけること。
たとえばスポーツ・アクティビティブランドとのコラボ、ワークアウト後の“肌のご褒美ケア”、デイリー使いのスキンケア/メイクの提案など。
(C) デジタル活用とパーソナライズ体験の強化
2025年、美容業界ではAIやデータ活用によるパーソナライズ化、さらにクリーンでナチュラルな価値観、そして消費者の多様化が顕著。
アスレジャーコスメでも、ユーザーの肌状態・生活習慣・運動頻度に応じて提案する“動的スキンケア診断”や、“ウェアラブル連携”“季節/天候に応じたスキンケア提案”など、新しいUX設計が今後の鍵となる。
まとめ――アスレジャーコスメは“次の成長軸”か
2025年末。美容業界はただ「美しく見せる」から、「生き方・ライフスタイルと調和したケア」へと舵を切っている。
このタイミングで、アスレジャーコスメは単なるトレンドではなく、市場の主流カテゴリーとして成長の可能性を持つ“次の成長軸”だと捉えるのが現実的だ。
ブランド/メーカーにとっては、以下の3つを押さえることで、2026年以降の勝ち筋を描きやすいのではないだろうか。
- 高機能性 × 環境配慮
- ライフスタイル共感型ブランディング
- デジタル × パーソナライズ提案
消費者のライフスタイルが「固定」から「流動」へ、「静」から「動」へと変化する今、アスレジャーコスメはまさに、その変化を映す鏡。
美容の“静”ではなく、“動”を味方につけることで、肌も、ブランドも、未来へ進める。
参考情報
- 矢野経済研究所(2025年)「化粧品市場に関する調査を実施(2025年)」https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3922
- 共同通信PRワイヤー(2025年2月)https://kyodonewsprwire.jp/release/202502214577
- Fortune Business Insights(2025年版)「化粧品市場規模・シェア・動向レポート(2025–2032)」https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/%E5%8C%96%E7%B2%A7%E5%93%81%E5%B8%82%E5%A0%B4-102614
- Global Industry Analysts(GII, 2025年)「Global Skin Care Market Forecasts 2025–2030https://www.gii.co.jp/report/ksi1697432-global-skin-care-market-forecasts-from.html
- スタラボ(Star Lab, 2024–2025トレンド予測)「2025年注目の美容トレンド“アスレジャーコスメ”や“過酷環境コスメ”」https://www.starlab.co.jp/wordpress/?p=2684
- VOCE(講談社, 2025年秋冬号)「発酵・環境適応型スキンケアの台頭」https://i-voce.jp/feed/4546266/
- Wellness Life Journal(2025年)「2025年の化粧品市場動向とウェルビーイング志向の高まり」 https://wellnesslife.co.jp/column/cosmeticsmarket2025/
