「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【9】 植物性シリコーン開発、枝毛、頭皮ケア同時に実現~サティス製薬(中)

2014.04.24

特集

編集部

サティス製薬が約100品目に及ぶ国産原料開発の中で現在、自社を代表する原料と位置付けているのが植物性シリコーン。合成した化学シリコーンと双 肩する毛髪付着力や再乳化性の両方の機能を持ち、切れ毛、枝毛のダメージケアと髪の毛を保護(キューティクル)して頭皮をケアするシャンプーの開発に道を 開いた。

同社は、この植物性シリコーンの特徴である毛髪付着力を持続させながら再乳化性を持つ機能を実現するため、耐水性を持つことで、 コーティングの持続性が高める「疎水性」をはじめシリコーン材料(重合体)の合成で、分子構造が大きいほど毛髪の接触面が大きくなり付着性を高める保護皮 膜用シリコーンの「高重合性」、らせん状の分子構造をしている「シロキサン鎖構造」、ダメージ部位に対しシリコーンを付着しやすくする正電荷のイオン「カ チオン電荷性」、髪の毛の表面にシリコーンが蓄積するビルドアップ現象を防止する「再乳化性」など構造を含め5点に絞って技術開発を行なった。

技 術開発は、ダメージ毛へのコーティング機能を持つ「パーム由来油」と「菜種由来油」、それにキューティクルへの付着性を高めることで、髪の疎水性を高める 機能を持つ「米油」の3つの油脂を最適な配合比率で調合。さらに、油脂の機能性を個別に高めるため、重合などの加工を施して毛髪付着力を持続させた。

ま た、最も技術的に難解なビルドアップを防ぐ再乳化性の技術開発として、3つの植物原料油脂に加えて椿油(写真)を最適な配合比率で調合。乳化剤製法時に親 水基がマイナスに帯電するアニオン性活性剤やプラスに帯電するカチオン性活性剤のどちらにも乳化されやすくビルドアップ防止機能を持つ再乳化性を実現させた。

サティス製薬

こうした技術開発によってダメージケアと頭皮に優しい頭皮ケア(スカルプケア)を同時に実現したシャンプーの開発に繋げた。

同 社は、植物性シリコーンシャンプーと一般のノンシリコンシャンプー、シリコーン配合シャンプーの3種類の枝毛の本数比較(グラフ)を行なった。いずれも毛 髪の毛束を14回洗浄し、その後、300回ブラッシング後に枝毛の本数を調べたもの。その結果、同社の植物性シリコーン代替原料配合シャンプーの枝毛本数 は14本、一般のノンシリコンシャンプー17本、シリコーン配合シャンプー24本と高い枝毛防止効果が判明した。同時に、シャンプー後にドライヤーで14 回乾燥させた後に毛髪の状態を電子顕微鏡で観察した。その結果、植物性シリコーン原料配合シャンプーは、一般のノンシリコンシャンプーと同様にキューティ クル模様がはっきり確認できるなどエビデンスが実証された。

現在、植物性シリコーンを通販化粧品メーカー中心に売り込みを図るとともにトリートメントなどヘアケア製品の開発に応用するための技術開発に取り組んでいる。

サティス製薬_グラフ

 

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株式会社サティス製薬

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