J-TEC、自家培養表皮を先天性アザ治療に適応、実用化目指す
2014.10.28
編集部
顔にできたホクロや生まれつき黒褐色のアザを化粧でカバーするのは、至難の技。特に新生児が生まれた時から身体に黒褐色の大きなアザ(先天性巨大色素性母斑)がある場合、深刻な悩みとなる。そんな中、再生医療ベンチャーの株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC=ナスダック上場/愛知県蒲郡市)は、重症熱傷の移植治療として保険適用(2009年1月)になった自家培養表皮「ジェイス」(シート状=写真)を新たに先天性巨大色素性母斑にも適応拡大して再生治療を実現することになった。
ジェイスを利用した先天性巨大色素性母斑の治療は、患者から採取した組織を培養してシート状に加工し、患者の母斑切除後に切除した部分にシートを移植して再生させる細胞再生移植。
今度、ジェイスが厚生労働省薬事・食品衛生審議会の再生医療等製品・生物由来技術部会で、希少疾病用再生医療等製品として認定される見通しとなったことから、先天性巨大色素性母斑治療の実用化を目指すことにした。
ジェイスの適応拡大を目指す先天性巨大色素性母斑の治療を目的とする臨床試験は、2012年10月に独立行政法人国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)などにおいて実施していた医師主導治験を2014年1月に治験機器提供者として支援していた同社が引き継ぎ現在、治験を継続中。
同社では「ジェイスが希少疾病用再生医療等製品として認定される見通しとなったことで、助成金の交付や優先的な治験相談および優先審査の実施、再審査期間の延長などの優遇措置が受けられる。現在、先天性巨大色素性母斑の患者数が新生児の約2万人に1人の割合と見られるが、できるだけ早く先天性巨大色素性母斑の治療に道筋をつけて実用化に供したい」としている。
現在、小さいホクロやアザは、レーザーなどで切除できるが、先天性巨大色素性母斑の治療は、組織破壊などで縫合手術が難しく困難。そこに着目して、同社がジェイスの適用拡大と治療の実用化に乗り出すことにした。今後、ジェイスを使った、先天性巨大色素性母斑の再生医療実現に大きな期待が膨らむとともに患者にとって朗報が待たれる。