連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【11】セーレン、5月にも最高級品「コモエースプレミアム」を新規投入(中)

2015.01.22

特集

編集部

セーレンがセリシン配合のスキンケア化粧品「コモエース」を最初に市場投入したのは1997年のこと。市場投入とはいえ、繊維メーカーが通販ルートや薬局・薬店ルート、百貨店ルートなど独自の化粧品ルートを確立していたわけではなかった。販売先は、繊維業で永年培った取引先に売り込んだ。当然ながら、繊維会社が化粧品の販売に踏み切ったことについて取引先が一様に驚嘆の声をあげたのは指摘するまでもない。

セーレン、薬用化粧品「セリサージュ」2003年に通販市場に販路を拡大し、化粧品のアイテムを増やしながら高島屋、バラエティショップなどにも販路を広げた。以降、現在では、商品アイテム数が原液タイプの美容液「PSリキッド」をはじめスキンケアシリーズ「コスモエースEXシリーズ」、「絹麗枠(けんれいすい)シリーズ」、薬用化粧品「セリサージュ」(写真)、ファンデーションと化粧下地のベイスメイクシリーズ、薬用スカルプ(頭皮)ケアアイテムなど約40アイテムにのぼる。また、通販市場での拡販を狙いに約2年前から消費者向けプロモーション活動として「絹麗粋」のテレビCMを実施。また、ラジオを介したコモエース化粧品の販促などを行った。しかし、通販チャネルを中心に、新規参入ラッシュで競争が激化している。

このため同社は、ここへきて高島屋への出店を強化。常設店を構える大阪店に加えて横浜店、日本橋店など4店舗に特設会場を設置し、キャラバン形態の「コモエース体感・販売会」を年2回のペースで実施。同時に、他の百貨店での催事も計画しながら百貨店の優良顧客へアプローチを図っている。
今年の春からは、百貨店向けに最高級品「コモエースプレミアム」を新規投入し、高級路線で勝負する。同社は「今年5月~6月にも化粧水とクリーム2品目を百貨店で販売する。いずれも皮膚への浸透度を高めたプレミアム商品で、価格は3万円を予定している」という。セリシン成分の良さと高機能化粧品を一般消費者に一段と訴求することで、拡販に繋げる。

一方、海外での化粧品事業にも力を入れる。2014年9月に中国・上海に現地法人「世聯美仕生活用品(上海)有限公司」を設立。繊維製品、原料、材料、化粧品などの輸出入および中国国内での販売を始めた。また、タイでの事業化にも踏み切る方向で検討している。

同社の化粧品事業は、基盤技術や商品の開発を研究開発センターが担当。商品のデザイン開発と販売をメディカル資材販売部とセーレン商事が担当する布陣となっている。メディカル資材販売部は、同社が開発した人工血管や人工心肺装置のフイルターなどメディカル分野の資材販売と合わせて化粧品の販売も担当し、年間40億円の売り上げ規模となっている。

このうち、化粧品の売り上げ規模について同社は明らかにしていないが販売面の課題であるセリシンと化粧品の訴求力を図りながら今後、通販市場や百貨店でのプレミアム化粧品の拡販による収益向上に期待が高まる。

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