理美容業の規制改革 理容師、美容師の職務範囲を撤廃、法改正へ(上)

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2015.06.29

編集部

「理容師、美容師が行う業務の垣根を無くして職務範囲の規制を撤廃する」―。こんな理美容業の規制改革を政府の規制改革会議が提言をまとめ、今年度にも法改正して施行する。また、理容所、美容所の重複開設の容認などについても2016年度に規制を撤廃するなど理美容業を取り巻く規制が大幅に緩和される見通しとなった。

理容師と美容師の職務は、昭和22年に制定された理容師法に規定して運用。また、美容師の職務は、理容師法の中に定めて運用された。

ところが、理容と美容に求められる技術に違いが生じてきたため、昭和32年に美容師単独の法律「美容師法」が制定され、法律にのっとって美容師の職務が運用されてきた。しかし、昭和49年に理容師法、美容師法の法律の解釈をめぐり理容業界と美容業界が激しく対立。「顧客へのパーマネントウェーブサービスをどちらの業務範囲とするか」を巡って昭和53年まで「パーマ戦争」と比喩されるほど激しい対立を演じた。

パーマ戦争は、昭和53年12月に厚生省の局長通達で全国理容生活衛生同業組合連合会と全日本美容業生活衛生同業組合連合会が合意書に調印して終結をみた。

表(要点のみ示す)は、その通知内容。昭和53年から平成26年現在まで、理容・美容の業務範囲として適用されている。e56133ef5e0552150b51e0a5446ea930

現行制度では、理容師に男女のカットおよび顔そり、男性のパーマに伴うカットが認められている。しかし、男性のパーマのみは認めていないし女性のパーマもかけられないのが実態。

これに対し美容師は、女性のカットと男女のパーマおよびパーマを伴うカットが認められている。半面、「男性のカットのみ」は認められておらず顔そりもできない。

こうした理美容業の職務の棲み分けは、理髪は理容師の職域。美容は、女性のサービス領域という男女の性別による区分けと相互の職域を侵害しないという考えが支配されていたことによる。

こうした中で、国内の128にのぼる規制改革を検討している政府の規制改革会議は、理美容業の職務領域の範囲を含む規制について「新しいサービスやビジネスモデルなどのイノベーションが妨げられ、競争が制限されるなど業界の発展を阻害する要因が多い」と指摘。同時に、「美容室を利用する男性が増え、多様なヘアスタイルや価値観がある現代社会において性別によって提供できるサービスを限定する規制は、実情にそぐわない」との指摘もある。

政府の規制改革会議は、これまで理容、美容の両業界団体を呼ぶなどして規制改革の検討を重ね、今年春に提言をまとめて政府に提出した。提言は、利用者が男性か女性の性別に着目してサービス内容を定めている理容師法及び美容師法の運用を見直し、職務範囲の規制を撤廃する。職務範囲の規制撤廃は、今通常国会で審議・可決され、今年度中に施行される見通し。

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