【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【26】リジェンティス③ ~リジェンティス7千万円の私募債発行、旺盛な資金需要~
2016.10.28
編集部
リジェンティスは、資金調達の一環として今年9月に7000万円にのぼる私募債(債権)の発行を行った。私募債の発行は、現在、八十二銀行が取り扱っている金融商品「地方創生応援私募債」(無担保私募債)に応募し、発行を委託したもの。私募債の発行価額は、総額7000万円にのぼる。
同社が私募債を発行したのは、新技術、新製品開発、設備投資、人材雇用など事業に関わる資金需要が引き続き旺盛なことから、債権を発行して多くのステークホルダーや個人投資家などに発行債券を購入してもらうことで、新たな資金を確保しようというもの。
従来、私募債の発行は、発行する企業自らが発行体となって資金の回収・管理を行ってきた。しかし、私募債発行に関する専門知識や資金回収・管理に手間がかかることなどから、今から15年前に地元の商工会議所や地元金融機関が私募債発行企業から私募債の発行・管理について受託するようになった。現在では、金融機関が私募債発行の企業を束ねて、私募債発行を銀行業務の一環として行うようになった。
こうした中、長野県を地盤とする八十二銀行は「地方創生応援私募債」と名付けた金融商品を打ち出し、私募債発行の受託を始めた。
同行の地方創生応援私募債は、発行企業の資金調達と地域貢献を応援するため、私募債発行に際し、同行が発行企業から受け取る引受手数料の一部を優遇し、発行企業がその優遇分で指定する学校や教育文化施設に学校用品等を寄贈するもの。
今回の私募債発行は、県内企業で私募債発行により資金調達を計画するリジェンティスを含めて、6社の私募債発行を9月に同行が一括して引き受けて発行したもの。
リジェンティスの私募債発行額は、総額7000万円にのぼる。私募債の種類は、無担保私募債で八十二銀行 長野県信用保証協会の共同保証となっている。
私募債発行は、未上場のベンチャーや中小企業などが金融機関からの融資以外に新株発行や第3者割当増資、ベンチャーキャピタル(VC)からの投資などと合わせて、金融支援の新手の資金調達法として国が導入した。
私募債の発行は、一般的な公募債と少数特定の投資家に債券を発行する私募債の2つがある。また、私募債発行の条件として、発行対象の人数が50人未満であることと金融機関に所属するプロの機関投資家のみに限定して発行すること。
機関投資家限定の発行の場合は、人数が50人を超えてもよい。公募債と異なり比較的に規制が緩く、時価評価による財務内容を公表する必要がない。
ともあれ、私募債は、主に上場を見込むベンチャーや新規事業を計画する中小企業が、取引先や経営者の親類などを対象に勧誘・発行する社債の一つ。
発行価額が1億円以下の場合、一般の社債のように財務内容を示した有価証券届出書などを国に提出する必要がなく、償還期限や利息も自由に設定できるのが最大の特徴。
同社は、2005年からVCから投資を受けて事業資金に充当するなど、活発な資金調達を実施してきた。
今度の私募債発行は、同社にとって資金需要が依然として旺盛であることを裏付けると同時に収益状況の実態が気になるところだ。