【連載】大手化粧品会社の研究⑪ホーユーの会社研究 ~カネボウからクラシエHDを買収、子会社に~(上)
2018.03.13
編集部
ホーユー株式会社(愛知県名古屋市、非上場)は、1905年(明治38年) に家庭薬製造販売業「水野甘苦堂」として創業したのが始まり。1909年(明治42年) には、初めての染毛剤「二羽からす」を発売。以来、現在まで113年にわたってヘアカラーを中心とする頭髪化粧品の専業メーとして業界に君臨してきた。
現在では、一般家庭向けで市販品の「ビゲン」、「シエロ」、「ビューティラボ」等のブランド品や理美容サロン等プロ向け(業務用)のヘアーカラー剤、ヘアケア剤を市場に投入し、一般消費者用ヘアカラーでは国内シェアの約40%を占めるなどトップメーカーに躍り出た。
同社の110年を超える社史の中で、旧カネボウ系列のクラシエホールディングス株式会社(HD、東京都港区)をM&Aで手中に収めたことが特筆される。
同社は、2009年9月にアドバンテッジパートナーズ有限責任事業組合(東京都港区)、株式会社MKS パートナーズ(東京都千代田区)及びユニゾン・キャピタル株式会社(東京都千代田区)の3ファンド会社が保有する旧カネボウの系列企業クラシエホールディングス株式会社、クラシエホームプロダクツ株式会社、クラシエ製薬株式会社及びクラシエフーズ株式会社の発行済普通株式のうち60%を取得する旨の株式譲渡契約を締結した。
同社がクラシエグループを買収したのは、一般消費者用及び業務用ヘアカラー市場は成熟期に入り今後、更なる成長を実現するためには、現在の最大の強みであるヘアカラーの売上を維持・拡大しながら、新しい販売ルートを開拓する、もしくはヘアカラー以外のカテゴリーへ進出することが急務であると判断。また、クラシエグループの事業と同社の技術・研究開発力とが組み合わさることにより、バリューチェーンの共同利用によるシナジー効果やホーユーの海外拠点における代理店の活用による葛根湯(写真)などのクラシエグループ製品の販売拡大、マーケティング活動の協働による成長機会の拡大、製薬技術の化粧品及びヘアカラーへの応用などを図る狙い。
クラシエHDの残り40%の株式については2012年3月に追加取得し、100%完全子会社とした。なお、クラシエHDは、2017年10月に岩倉昌弘取締役専務執行役員が社長に昇格する人事を執行した。岩倉氏は、クラシエグループに事業を譲渡したカネボウの出身。投資ファンドによる再建が終わり、石橋前社長(会長就任)から2代続けてカネボウの生え抜きを起用して業績拡大につなげる。