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パーフルオロカーボンで甲状腺機能に異常か

フロンの代替品として利用されているパーフルオロカーボン(PFC)の人体への影響を示す研究が17日、「the Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」のオンライン号に発表された。

台湾にある恩主公医院のLi-Li Wen博士らによるこの研究では、2007年の米国国民健康栄養調査(NHANES)から1181人の成人を選び、2008-2010年における各人の血清中PFC濃度と一般米国人口における甲状腺機能との関連を検討した。

調査の結果、各PFCの血中濃度は以下の通りで、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)は4.15ng/mL、ペルフルオロオクタンスルホン酸塩は14.2ng/mL、パーフルオロノナン酸は1.54ng/mL、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)は2.00ng/mLだった。人体への影響としては、PFOAの増加と甲状腺ホルモンの増加を示す総T3濃度の上昇、PFHxSの増加と総T4濃度の上昇との関連が認められた。

Wen博士らは「我々の知る限り、これは米国の成人の全国的調査で血清PFCレベルと甲状腺機能の関連を調査した最初の研究である。低用量のPFOAとPFHxSが、無症状ではあるが人体に影響していることを示している」と述べている。

炭素とフッ素のみで構成されるパーフルオロカーボン(PFC)は、不燃性で安定な性状を持ち、オゾン層破壊効果がないことから、フロン類の代替物質として利用されてきた。一方で強力な温室効果を有していることから、「京都議定書」における排出削減対象物質となっている。規制対象としての前提は洗浄剤・溶剤への用途であり、代替化への検討が進んでいるという。PFCの試験溶剤、医療用などへの使用実態は不明または使用例が僅かであるとされており、この分野では代替化などの問題は表面化していない。化粧・美容品業界では、アンチエイジングなどの化粧品の一部で成分としてPFCの記載が見られるものがあり、有効成分の浸透を助ける溶剤としての効果を謳ったものが多い。現在、PFCは化粧品への使用に規制があるものではないが、廃棄方法や輸出入には規制のある化学物質であり、代替化検討の余地が残るものと思われる。

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