職業上の失敗は、多くの場合とても動揺を伴うものであり、誰もがすぐに乗り越えられるわけではありません。ここでは、キャリアを継続しながら失敗から立ち直るためのいくつかの鍵をご紹介します。失敗を成功へと変える方法も併せてお伝えします。
執筆: FLORENCE DELMAS
キャリアにおける失敗の価値と成長の可能性
職業人生は、平坦でまっすぐな道ではなく、穏やかな川の流れのようなものでもありません。状況によって右へ左へと進路を変え、途中には回避しなければならない障害が点在します。しかし、それらをうまく回避できなかったとき、それは「失敗」となります。失敗は職業人生の一部であり、それを受け入れ、踏み台として再び前進する方法を知ることが必要です。
「失敗のないキャリアなんて存在しません」と語るのは、ビジネス&マネジメント分野でコンサルティングやコーチングを行う企業「ラトリエ」創業者のファブリス・アンツ氏です。「むしろ良いことなのです。私たちの成功は、多くの場合、失敗から養われます。実際、失敗は自分の弱点を見極め、持てる資源を総動員し、新たな目標を設定し、自分の中の最良の部分を引き出すための良い機会を与えてくれます。」
しかし、成功を重視し「先頭に立つ者」ばかりを称賛する社会において、職業上の失敗は往々にしてつらく、強く心に残り、自己肯定感に長期的な影響を与えることがあります。
①失敗の原因を特定する
職業上の失敗にはさまざまな形があります。それぞれに特有の性質や影響があり、例えば、昇進の失敗、職務上のミス、解雇、倒産、あるいは転職の失敗などが挙げられます。どのような失敗であっても、まずはその原因を理解することが最優先です。
原因が企業内部の要因(経営の不備や組織の不良など)にある場合もあれば、自分自身に直接起因する場合もあります。後者の場合、それを特定し、改善する必要があります。
心理療法士のヴァンサン・コンバル氏はこう説明します。「この段階は一般的にとても困難です。なぜなら、自分自身に対して透明になる必要があるからです。エゴを脇に置き、現実を直視し、自分に欠けている点や、特定分野での明らかな能力不足、あるいは与えられた課題や目標に応えられなかったことを認めなければなりません。」
これは、他人の視線や評価への恐れと同時に、ストレスや不安といった否定的な感情を伴うことが多く、非常に厳しい現実です。しかし、このステップは、失敗から教訓を引き出し、前進するために欠かせません。
②失敗を深刻化しすぎない
職業上の失敗の後に落ち込み、意気消沈するのは当然のことですが、必要以上に自分を責める必要はありません。失敗は人間であれば誰でも経験するものであり、職業人生の一部であることを理解し、自分に寛容になることが大切です。
失敗は想像以上によくあることで、今成功している人たちも、その前には多くの失敗を経験してきています。ただし、それを公に語る人は少ないのが現実です。
「失敗に付随する否定的なイメージを取り払うことができれば、立ち直りはぐっと容易になります」とヴァンサン・コンバル氏は言います。「自転車の例をよく使いますが、最初に転んだ後に再び乗らなければ、乗れるようにはなりません。恐怖を抱えたままでも再びサドルにまたがることで、やがて失敗を成功に変えることができるのです。」
職業上の失敗も同じです。たとえ複数回経験したとしても、いずれは必ず成功できると信じることが大切です。そのためには、自分を見つめ直し、失敗の後に適切な判断を下すことが求められます。
③スキルを強化する
一度つまずいたからといって、同じことが必ず繰り返されるわけではありません。しかし、そのためには失敗から学び、避けるために何をすべきだったかを理解する必要があります。経験やスキル不足が原因であっても、失敗は状況を正直に振り返り、弱点と強化すべき点を明確にする絶好の機会です。
ファブリス・アンツ氏はこう強調します。「失敗したからといって、決して自分の目標を下げてはいけません。それは全くの逆効果です。職業人生は直線的ではありません。谷を越えたら、次の山頂に備えるべきです。私は、成功を望むなら下を見るのではなく、むしろ高みを目指すべきだと考えます。これは極めて論理的なことです。」
研修こそがカギ
また、失敗から立ち直るための「戦いの要(かなめ)」となるのは研修です。新しいスキルを習得し、知識を磨くことは、必ずやその後のキャリアに良い影響をもたらします。特に、絶えず変化し続ける現代の職場環境では、これは一層重要です。別の職業への転職を検討することもできます。このように、失敗は決して終着点としてとらえるべきではなく、むしろ学び、成長し、職業人として自らを再創造するための必要な一歩として受け止めるべきです。
④専門家の伴走を受ける
仕事で失敗したとき、周囲の支えはもちろん心強いものですが、プロのコーチによる伴走はさらに有効です。外部からの客観的で公平な視点と、あなた専用のアドバイスを受けることで、持っている資源を最大限に引き出し、より早く再起できるようになります。コーチの役割は、あなたの資質や潜在能力を引き出すことで、自信を取り戻させることです。ファブリス・アンツ氏はこう述べています。
「多くの場合、人は自分の能力に気づいていません。これが失敗の原因になることもあります。だからこそ、コーチはその人が自らの力を認識し、現場で最大限に活用できるよう導くのです。私たちは成功よりも、むしろ失敗から多くを学びます。そして、将来、失敗を恐れてコンフォートゾーンから出ようとしなかったり、リスクを取らなかったりするのは避けるべきです。勝つための姿勢こそが、その後の成功を連鎖的に生み出すのです。」
失敗を成長に変えるレジリエンスは鍛えられる
失敗から立ち直る力は、その人の高いレジリエンス(回復力)を示します。そして、このレジリエンスは現在、多くの企業が求める資質です。なぜなら、それは困難やストレスの多い状況にも動じず立ち向かえる粘り強さを示すからです。
今回の失敗を、自分のレジリエンスを鍛える機会として活用しましょう。そうすれば、今よりも強く、未来に備えた武装を整えた状態で、次のキャリアを歩み出すことができます。そして、そのキャリアを成功させることができるはずです。