執筆：Michèle de LATTRE
ドーヴィルとオンフルールの間、Cricqueboeufに位置する「Le Manoir de la Poterie & Spa****」は、田園の穏やかさと海の眺めを同時に楽しめる素晴らしい邸宅です。緑と静けさに囲まれた環境の中で、このスパは心身を完全に解きほぐす体験を提供しています。
経営者であるJennifer Crosnier氏とその夫Ludovic氏、そしてスパマネージャーのFanny Louis氏、さらにホテル・レストラン・スパ分野の専門家Christopher Terleski氏が、このノルマンディの宝石の魅力を語ります。
夫婦で築いたノルマンディのマナーハウスホテル
Jennifer Crosnier氏：2000年、私たち夫婦は何もない野原を見つけ、そこに魅力的なホテルを建てることを決めました。「Le Manoir de la Poterie」は新築の建物であり、私と夫で一から創り上げたのです。見た目は長い年月を経てきたような、堂々たるノルマンディ風マナーハウスになりました。
スパはホテル建設後、約10年前に経済的に可能になった時点で開業しました。私たちは海沿いに位置しているため、地域の優れたブランドPhytomerを選びました。そして、あえて手技のトリートメントのみを提供することにしました。
450㎡のスパには4つのトリートメントルーム（うち2室はデュオ）、屋内温水プール、ジャグジー、サウナ、ヒマラヤ岩塩の壁を備えたハマム、リラクゼーションルーム、屋外テラスが整っています。
収益と顧客満足を支えるスパの役割
Jennifer Crosnier氏：スパは私たちにとって欠かせない補完的存在です。冬のノルマンディでは特にありがたい施設であり、宿泊者を増やすだけでなく、快適さや楽しみももたらしてくれます。さらに売上にも貢献しています。一部のホテル経営者は建設費用のためスパを収益につなげられないと言いますが、私たちのスパは開業から12年が経ち、すでに償却を終えています。純粋な宿泊やレストラン事業を支える重要な柱となっているのです。
Christopher Terleski氏の助言
2棟目の建物（500㎡、スパ・会議室・客室を備える）を建設する際、私たちはコンサルタントのChristopher Terleski氏に相談しました。プランニングや収益性の検討、早期の投資回収のためのアドバイスが必要だったのです。彼からはトリートメントルームの設計、サウナやハマムの配置、提供メニュー、スタッフ構成、料金設定など多方面にわたる助言を受けました。その結果、現在の規模までスパを拡張することができました。
プール利用と子どもの制限
Fanny Louis氏： 私たちは12歳未満の子どもの利用を受け入れていません。事前の情報提供と適切な説明、そして繰り返しの告知が大切です。ウェブサイト、フロント、案内すべてで明確に伝えています。
スパ収益性の秘訣
Jennifer Crosnier氏：優れた施術スタッフを揃えること、ホテル稼働率を高めつつ予約枠をうまく確保することです。
Fanny Louis氏：外部の顧客も大切です。当館は他の施設と比べて宿泊以外のお客様が多く、特に別荘を持つリピーターが定期的に訪れます。そのおかげで閑散期にも一定の稼働を維持できます。
顧客層
Jennifer Crosnier氏：宿泊客のおよそ80％がスパやプールを利用しており、客室料金に利用料が含まれています。外部顧客は施術を受ける場合に限り、半日間施設を利用可能です。料金はデュオ45ユーロ、個人25ユーロの2種類で、非常に人気があります。
平日はパリからの宿泊客、リタイア層、休暇旅行者が多く、最も閑散とするのは1月です。
チームと働き方
当館には5名の施術者が在籍しています。土曜日は10時から20時まで稼働し、1人あたり7名を担当します。マッサージとトリートメントを交互に行いますが、仕事は非常に体力を使います。
施術の70％はマッサージであり、スタッフは姿勢やストレッチを意識して筋肉の不調を防ぎ、常に助言をし合っています。カンフル配合の「Baume du Tigre」を頻繁に使い、週末前にはしっかり休養を取るように心掛けています。
メニュー
Jennifer Crosnier氏：私たちはパッケージプランを設けていません。例えば、全身マッサージとアンチエイジングのフェイシャルを希望する場合、2時間分の施術を予約する形になります。
最も人気のあるフェイシャルはPhytomerの「Pionnier Jeunesse Suprême」で、90分間のコースです。背中のマッサージから始まり、温感製品を用いて全体のリラクゼーションを促します。さらに小顔効果を目的とした手技やローラー、グアシャを使用した30分間の手技を組み合わせており、その即効性が高く評価されています。
高級ホテルで培った経験と専門資格
Fanny Louis氏（スパマネージャー）
Fanny Louis氏：私はBTS Hôtelierを取得後、CAP、BP Esthétiqueを修了し、さらにCQP Spa PraticienとCQP Spa Managerの資格を取得しました。これまで5つ星ホテルで勤務し、Deauvilleの「Le Normandy」にも在籍しました。2か月間タイに滞在し、タイ古式マッサージも学びました。現在「Le Manoir de la Poterie」で2年半勤務しています。ここでの最大の挑戦は、チームマネジメントです。
チームとは長期的に取り組む姿勢が必要です。チームスピリットを持ち、共通のビジョンを掲げ、常に現場に寄り添うことが重要です。初めはどこでもあるように衝突もありましたが、それを乗り越えていくことで将来に役立つ貴重な経験となります。
スパが地域に与えるデスティネーション価値
Christopher Terleski氏：私は「Le Manoir de la Poterie」に20年ほど前、2006年から何度も関わってきました。当時、Ludovic氏とJennifer氏は経営者として学びの時期にありましたが、成長力が非常に高く、進歩も速く的確でした。特にスパの創設を検討していた時期に、私は事業拡大の方法について助言しました。新しい建物に追加の客室を設けることに不安を抱いていましたが、開業後すぐにホテルの稼働率は上昇しました。
その後、需要が収容能力を超えるようになり、私は地下にトリートメントルームを増設するよう提案しました。スパは大きな成功を収め、Jennifer氏とLudovic氏にとってホテル全体の運営を最適化するきっかけとなったのです。
スパの存在は、一年を通じてホテル経営を均等に収益化することを可能にしました。スパがなければ冬のシーズンは非常に厳しいものとなっていたはずですが、今はそうではありません。
20年、30年、40年前であれば、優れたホテルとレストランがあれば顧客で満室になったものです。しかし今日では、良いホテルやレストランは基盤にすぎず、スパこそが施設に目的地としての価値を与える原動力になっています。その結果、このマノワールは「Cricqueboeuf」の地において真のデスティネーションとして認知されるようになりました。西にはTrouvilleとDeauville、東にはHonfleurがありますが、この町自体には他の大きな魅力は存在しません。
結論として、もし今日このホテルにスパが存在しなければ、「Le Manoir de la Poterie」は、多くの施設が直面しているような困難に晒されていたでしょう。Crosnier夫妻が示した先見性と勇気があったからこそ、今の成功があるのです。
