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【2】 界面活性剤の臭気低減と濁り解消を実現~旭化成ケミカルズ(上)

旭化成の化粧品原 料事業は、子会社の旭化成ケミカルズが担う。旭化成の持株会社制への移行(2003年)に伴い7事業会社と一緒に子会社(グループ会社)となった。現在、 同社が市場に投入している主要な香粧品原料(製品)は、1989年に市場投入したアミノ酸系界面活性剤「アミノサ―ファクト・Aシリーズ」をはじめ「アミ ノフォーマー」(2004年販売)や高機能香粧品原料「ペリセア」、植物性天然保湿材「アミノコート」と「オリゴGGF」、高純度結晶セルロース「セオラ ス・セルフィア」(粉体)など6製品を数える。

旭化成ケミカルズ(上)「ア ミノサーファクト」と「アミノフォーマー」は、植物由来原料からつくられた低刺激性、高起泡性、高生分解性を特徴としたヘアシャンプー、洗顔料(液体、固 体)に用途を持つ原料。この2つの界面活性剤は、同社の独自製法「アルコール溶媒法」と「低温製造法」による製造プロセスを改良し、製造時の臭気を従来製 法の3から1.5(ランク2までが使用範囲、調香師による臭気評価)に低減。同時に、0℃、6ヵ月保存で実験した濁りについても従来製法と比べて無色透明 (写真)を実現した。

アルコール溶媒法は、アセトン(有機化合物)を使用しないため、臭気原因物質を生成しない。このため、無香料製品などへの配合が容易となった。また、低温製造法は、高温で黄変を抑制し、低温で白濁を抑制するなど配合系での安定性向上に繋げた。

一般的な界面活性剤の製造プロセスでは、100℃を超える高温の工程で反応させるため、遊離脂肪酸や不純物の生成を助長させて黄変、白濁の原因になっていた。

現在、化粧品原料の安全性試験については、外部の民間企業に委託。界面活性剤の角層水分量、官能評価、肌の保湿性などの有効性試験を技術部が中心となって行なっている。

ま た、同社は、原料全体で約500社にのぼる国内化粧品会社と取引。「アミノサーファクト」「アミノフォーマー」「ペリセア」の3製品を中心に国内主要代理 店10社を通じて化粧品会社の研究部門などに対して売り込み攻勢をかけている。しかし、主力ユーザーの化粧品各社に対して化粧品原料の特性などを単に話す だけでは、取引がスムースに成立する環境ではない。

こ のため、同社では「機能性、安全性、処方などのデータを作成して説明するなど営業面での強化を図っている」(添加材事業部)。海外展開については、 2012年から米国と欧州(フランス、イタリア、ドイツ、スペイン)に設置した代理店を通じてプロモーション活動を展開中。現在、欧州では、化学品規制 (REACH規制)による登録・認可が義務化されるなど環境規制が強化されている。そうした中で、海外での販売をいかに伸ばして行くか、今後の展開が注目 される。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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