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シロクマに学ぶ、肥満なのに健康体の秘密

肥満なのに病気にならないシロクマの研究が、「Cell」の5月8日号に掲載された。シロクマの主食は、アザラシなどの海獣を中心とした「高脂肪食」。体重の半分が脂肪という深刻な肥満の状態にあるにもかかわらず、血管や心臓などにその悪影響は見られない。今回の研究では、シロクマの遺伝子を解析することによって、脂肪酸代謝などのシステムを解明。高脂肪食による悪影響を軽減する方法を探った。

シロクマがヒグマ類から分岐したのは約50万年前で、これまで考えていたよりも若い種であることがわかった。この間に、シロクマの、血液および脂肪酸代謝における細胞への脂肪輸送に関する遺伝子に大きな変化があったことが明らかとなった。研究者らは、このうち約10万年という短い期間で、高脂肪食に対応する代謝システムを獲得したと考えている。代表的な変化としては、哺乳動物では「悪玉」とされるコレステロールのLDL-Cのたんぱく質をコードするAPOB(アポリポ蛋白B)に起こった。この遺伝子の変化や変異は、特に血中コレステロールのコントロールに大きな影響をもたらす。

現在、心臓や脳の血管障害の抑制・予防の指標となっているのは悪玉コレステロールのLDL-Cだが、最近の研究では、LDL-CよりAPOBのほうが動脈硬化のリスクが大きいことがわかり、APOBは健康管理の新指標として注目されているという。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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