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リノール酸豊富なコーンオイルは過大評価されてきたかも

1968~73年にかけてアメリカで実施されたミネソタ冠動脈試験(the Minnesota Coronary Experiment:MCE)の試験結果を分析した結果が4月12日、「BMJ」オンライン版に掲載された。

MCE試験は、当時、コレステロールを下げるとされていた(現在もそう言われている)リノール酸が身体に与える影響を調査したもの。アメリカのミネソタ州にある老人ホーム1施設と精神病院6施設の男女9423人(年齢20~97歳)を対象とした。飽和脂肪酸が多いマーガリンやショートニングを、リノール酸が豊富なコーンオイルと変更することで、冠動脈性心臓病や死亡率が低下するかを検討した二重盲検無作為化試験だった。

コーンオイルに変更したグループでは、変更しなかったグループに比べ血清コレステロール値が有意に減少した(ベースラインからの平均変化値-13.8% 対 -1.0%、p<0.001)。カプランマイヤー法による解析では、コーンオイルグループの死亡率低下は見られなかった。冠動脈アテローム性動脈硬化や心筋梗塞を抑制する効果も見られなかった。また、共変量で調整後、血清コレステロールが30mg/dL下がるごとに、死亡リスクが22%上昇することがわかった。

この試験の結果からは、食事における飽和脂肪をリノール酸に変更することは、血清コレステロール値を低下させるが、心臓疾患や死亡率の減少とは関連していないことが分かった。研究者らは、健康に対するリノール酸の過大評価に注意を促している。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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