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ベビーパウダー関連卵巣がんをめぐる訴訟はさらに増加

医薬/日用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン社(J&J社)のベビーパウダーに関連した卵巣がん訴訟が増加するだろうという記事が9月26日、CBS St.Louisのサイトに掲載された。医薬/日用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン社(J&J社)が販売する「ベビーパウダー」と「シャワートゥシャワー」を原因とする卵巣がんで死亡した女性の家族に対し7200万ドル、さらに別の同様案件でも5500万ドルの損害賠償支払いの判決が出ている。

法律事務所のOnder Law Firmによれば、現在関連の訴訟は1800件あり、これは3500件ほどに増えるという。同事務所はJ&J社がタルクが危険であるという可能性について承知していながら、これを消費者につたえることがなかったという点を重要視している。内部文書では、タルクががんを引き起こすことが医学的に分かった時点で、同社では黒人やヒスパニック系に対してターゲット・マーケティングを開始したことが述べられているという。

一方、J&J社の弁護士John Beisner氏は「化粧品原料としてのタルクとがんの関連性は科学的根拠がない」と主張している。また、同社の発表ではニュージャージー州の裁判所では2件の類似裁判が、科学的根拠の欠如により却下されているとのこと。

実際に、ハーバード大学による看護師健康調査(対象女性13万人)の前向きコホート研究の結果からは、タルカムパウダーと卵巣がんの関連は証明されていない。また、環境健康科学研究所による前向きコホート研究(アメリカ、プエルトリコにおいて対象女性約5万人)でも、タルクの使用と卵巣がんには関連はみられなかった。各国政府または非政府機関のいずれも、タルクが卵巣がんを引き起こすと結論付けてはいない。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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