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微生物のバランスの悪さがニキビの原因の可能性

4月3~6日に英国エジンバラで開催された微生物学会(Microbiology Society)年次総会で、顔面の微生物のバランスの悪さがニキビ原因かもしれないという研究が発表された。ニキビは、皮膚毛包の疾患だが正確な原因は不明である。アクネ菌(Propionibacterium acnes)は長い間、ざ瘡に関連すると言われてきたが、健常人および高齢者皮膚にも最も一般的で豊富に見られる菌種であり、ニキビ発症におけるその役割は十分にわかってはいない。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のHuiying Li分子医学薬理学准教授が率いる研究チームは、ニキビ患者38人およびニキビのない参加者34人を対象に、市販のニキビ用ストリップを用いて皮膚濾胞サンプルを採取。DNAショットガンシーケンシング分析と呼ばれる手法を用いて、2つのグループの皮膚微生物の構成を同定し、比較した。

研究者らは、2つのグループのP.acnes系統間の微細な遺伝的差異を特定し、皮膚細菌組成の差異を検出した。ニキビのない健康なグループの細菌叢には代謝に関連する遺伝子が豊富であり、このことが有害な細菌が皮膚に定着するのを防ぐのに重要であると考えられた。対照的に、ニキビ群の細菌叢には潜在的に皮膚に有害な細菌性毒素などの前炎症性化合物の産生および輸送に関連するものを含む、より高レベルの毒性関連遺伝子が存在した。また、これらのゲノムプロファイルに基づいて、個人の皮膚の健康状態を高い精度で予測することができた。

Li准教授は「濾胞中の細菌の構成は皮膚の状態を反映するだけでなく、皮膚の健康に影響を与えることができる」と述べており、今回の研究から、皮膚の微生物を調節し、健康な細菌バランスを維持する標的化された治療法が、皮膚細菌を選択的に殺す抗生物質使用よりも好ましい可能性があることが示唆された。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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