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食品包装材のZnOナノ粒子が栄養の吸収を阻害

食品の包装に使われているナノ粒子が栄養素の吸収に悪影響を与える可能性があるという研究結果が4月9日、米国Binghamton Universityからプレスリリースされた。この研究の詳細は「Journal Food and Function」オンラインに掲載されている。

同大学生体医工学のGretchen J. Mahler氏らは、缶詰の缶の裏側に抗菌作用をもつ成分として使用されている酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を対象に、質量分析計を用いて、どのくらい多くのナノ粒子が食品に移っているかを調査した。缶詰のトウモロコシ、マグロ、アスパラガス、鶏肉の調査で、食事中亜鉛の1日の許容量を100倍の亜鉛が食品に移っていることを確認した。その後、このZnOナノ粒子の消化管におよぼす影響を、細胞培養モデルを用いて検討した。

Mahler氏は「ナノ粒子は胃腸管表面の細胞に定着し、栄養を吸収する腸の表面積を縮小させる。また、粒子が高用量の場合、いくつかは前炎症性シグナル伝達を引き起こし、これは腸管モデルの上皮透過性を増加させる可能性がある。腸管上皮透過性の増加は良いことではなく、透過させてはならない化合物が血流にはいることを可能にするかもしれない」と述べている。

今回の研究からナノ粒子の長期的な影響、また、人体への直接的な影響を論じるのは難しいとしながらも、ナノ粒子が腸機能にどのように影響を与えるかを理解することが、消費者安全のための重要な研究領域であることが示唆された。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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