埼玉県、化粧品などに含まれる環状シロキサンの測定法を開発
2018.07.12
編集部
埼玉県環境科学国際センターはこのほど、化粧品やシャンプーなどに含まれるシリコーン(環状シロキサン)を高感度で測定する方法を独自に開発したと発表した。日本発の測定方法としてISO規格に認定され、近日中に日本規格協会から公表される。
今回、ISO規格に認定されたのは、「水質-揮発性環状メチルシロキサンの測定-第1部:パージ及びトラップガスクロマトグラフィ質量分析法(GC-MS)を用いた方法」。経済産業省の戦略的国際標準化加速事業のサポートを受けて、ISO規格化に取り組んだもので、地方環境研究所としては極めて画期的な成果。
環状シロキサンはシリコーンの一種で、日常生活や様々な産業分野で使用されている。水環境中で濃度が半分になるのに3年以上を要するものもあり、魚類への高い蓄積性や慢性毒性が懸念されるため、欧州では水環境へ排出されるパーソナルケア製品への使用が制限されている。
同センターが独自開発したのは、試料水を改良型パージトラップ抽出法により処理するもので、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて定量する。改良型パージトラップ抽出には、加温・超音波アシストを追加。これにより抽出効率が向上し、正確で安定した分析が可能となった。使用器具を具体的に指定することで、多くの分析器具や機器の部品に含まれる環状シロキサンによる試料汚染を防止し、低濃度試料の分析が可能となる。
この測定方法を使うことで、環状シロキサンのうちD4、D5、D6について、水試料から極微量(数ナノグラム/リットル)を検出できる。
環状シロキサンは、水環境中に長期間残留する上、生物に蓄積しやすいため環境影響が懸念されている。これまで、河川水など水環境中の環状シロキサンを低濃度まで正確に求める国際的な測定方法はなく、その開発が求められていた。
世界各国の河川などにおいて同県が開発した測定方法を用いたモニタリングが実施されることで、環状シロキサンによる環境リスクの低減に貢献できるとしている。
- 参考リンク
- 埼玉県