遺伝子検査サービスに1000社参入、2016年度2千億円市場を形成

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2013.08.7

編集部

私的な個人を対象(DTC=ダイレクトツ―コンシューマ)に、検査キットや採取キットで粘膜を採取し、肥満などの遺伝子を検査する遺伝子検査受託サービスに乗り出す企業が相次いでいる。2003年にヒトのゲノムの全塩基配列が解明され、疾患に関連する遺伝子が次々に明らかになったことや健康志向の高まりで個人の肥満、メタボ、禿頭、生活習慣病などの体質改善志向を背景に製薬、化粧品、外食チェーン、クリニックなど1000社を超える多種多様な業種がなだれ込むなど玉石混合の状況となってきた。

遺伝子検査技術で試薬・診断薬の開発を行ってきた湧永製薬は、肥満関連遺伝子を解析することで、肥満体質を判定し、遺伝子タイプに合った食事や運動をアドバイスする遺伝子検査サービス(2008年)に参入。肥満関連遺伝子検査キットを薬局・薬店と同社オンラインショップ(通信販売)で発売。2011年7月からは、検査項目を追加し、通信販売で「アルコール代謝関連遺伝子検査」のサービスを開始した。

アルコール代謝関連遺伝子検査では、アルコール脱水素酵素(ADH2) とアルデヒド脱水素酵素(ALDH2) の遺伝子の型を調べ、アルコールに対する自身の適応能力を知ることで、飲酒習慣の改善に役立てるもの。

現在では、通信販売で「肥満関連遺伝子検査」「アルコール代謝関連遺伝子検査」「肥満とアルコール代謝関連遺伝子検査」の3種類の検査サービスを行っている。価格は「肥満とアルコール代謝関連遺伝子検査」の2セットで、1万500円。健康診断を行っている企業などの需要を取り込む。

外食チェーンを展開するゼンショ―と遺伝子検査サ-ビスを行うヘルスケア&ビューティパートナ―及びヘルスケア&ビューティパートナ―大阪が2012年5月に共同出資して設立したゲノフは、20のクリニックと提携し、遺伝子検査と遺伝子栄養分析プログラムをセットにしたウエブサービス「ゲノフ遺伝子栄養分析プログラム」による食スタイル改善サービス事業に乗り出している。体質遺伝子を調べて「糖質注意型」「脂質注意型」など9つのタイプから顧客の体質を判定し、クリニックや栄養士が食事改善の指導・助言を行う。運動が必要な顧客に対しては、提携しているNASUスポ―ツクラブを紹介している。

化粧品やサプリメントの販売効果を上げるために遺伝子検査サービスに進出したのがDHC。

通販でダイエット対策キットと美肌対策キットの2キットを販売。遺伝子検査料は、2キットともに5250円。美肌対策キットは、しわ(MMP1遺伝子)、しみ(ASIP 遺伝子)、敏感肌(SPINK5 遺伝子)に関連する遺伝子を検査。ダイエット対策キットは、β3アドレナリン 遺伝子、UCP1遺伝子、β2アドレナリン遺伝子を測定する。検査結果に合わせてスキンケア、美容液、サプリメントなどを販売している。遺伝子検査は、ジェネシスヘルスケアで実施している。

新日鉄住金系列の日鉄住金環境も遺伝子検査サ―ビスに進出した。ゲノム塩基配列の変異を診断するス二プス(SNPS)検査や牛や豚など家畜の遺伝子診断に乗り出している。

経産省が24年度に調べた遺伝子検査受託サービス実態調査によると個人を対象(DTC=ダイレクトツ―コンシューマ)に、検査キットや採取キットで粘膜を採取して肥満などの遺伝子を検査する遺伝子検査受託サービスに乗り出している企業数は、事業会社、代行会社を含めて約1000社にのぼると見込んでいる。

今後、医療機関やデンタルクリニックなどが新たな収益事業として同市場に参入すると見られ市場規模は、現在の150億円から2016 年度には、遺伝子検査受託サービス、遺伝子解析支援ビジネス、遺伝子解析受託ビジネス合わせて2000 億円にまで拡大する見通しで、有望な産業を形成する公算が強い。

遺伝子検査サービスに乗り出している主な企業

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