新型コロナワクチン接種者1,774名のほぼ全員で抗体価上昇
2021.06.7
編集部
国立大学法人千葉大学医学部付属千葉大学病院(千葉県千葉市)は、2021年2月1日に設置した「コロナワクチンセンター」において、新型コロナワクチン(ファイザー社製)を接種した当院職員の抗体価を調べたところ、1,774名のうち1,773名、ほぼ全員に抗体価の上昇がみられ、ワクチンが有効であることを確認したと発表した。
<研究の概要>
研究名:「COVID-19ワクチンに対する免疫応答を規定する機構の解明」
実施者:千葉大学病院コロナワクチンセンター(千葉大学病院と千葉大学医学研究院が連携)
対 象:新型コロナワクチン(ファイザー社製)を接種し、研究協力した当院職員
・1回目接種の前に採血・唾液採取‥2,015名(男性 719名、女性1,296名、21才~72才)
・2回目接種の後に採血・唾液採取‥1,774名 (男性 606名、女性1,168名、21才~72才)
方 法:新型コロナウイルスに対する抗体価を測定し、人口統計学的要因との関連も調査
※今回発表するのは採血検体の解析結果。唾液検体に関する解析は現在実施中。
<研究成果のポイント>
・ワクチン接種前の段階で、抗体が陽性だったのは21名(1.1%)
・2回目接種後、抗体が陽性となったのは1,774名中1,773名(99.9%)
・抗体価は、接種前の中央値が<0.4 U/mL(多くが全く抗体がない状態)に対し、接種後の中央値は2,060 U/mLと大幅に上昇(右図参照)
下図のように、年齢、性別、飲酒頻度、1回目と2回目の接種間隔などの因子と抗体価との関連についても明らかとなった。同研究結果はプレプリントサーバーのmedRxiv(メドアーカイブ *)に6月2日に登録し、近々公開予定。
尚、現在、ワクチンによる副反応と抗体反応がどのように関連するのかについて、解析を進めている。さらに、今回研究に協力した職員には、1年後COVID-19にかかったかの調査を予定している。
同病院では、今後、ワクチンの抗体価と副反応の関連など、さらに研究を深めていきたいとしている。
※medRxiv(メドアーカイブ)
プリング・ハーバー研究所(CSHL)、医学系雑誌出版社BMJ、米・イエール大学の3機関共同運営によるライフサイエンス分野のプレプリントサービス。査読前の論文を受付し、新しい知見の迅速な共有やフィードバックを受けるためのプラットフォームを無料提供している
投稿論文
同研究結果をまとめた論文は、査読付き学術誌の審査前にプレプリントサーバーのmedRxivに6月2日に登録し、近々公開予定。今後、審査によっては、論文内容が修正される場合がある。
Antibody responses to BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine in 2,015 healthcare workers in a single tertiary referral hospital in Japan Takahiro Kageyama, Kei Ikeda, Shigeru Tanaka, Toshibumi Taniguchi, Hidetoshi Igari, Yoshihiro Onouchi, Atsushi Kaneda, Kazuyuki Matsushita, Hideki Hanaoka, Taka-Aki Nakada, Seiji Ohtori, Ichiro Yoshino, Hisahiro Matsubara, Toshinori Nakayama, Koutaro Yokote, and Hiroshi Nakajima