J-TEC、冨士フイルムと中国、タイで再生医療事業化調査を開始

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2013.12.12

編集部

再生医療ベンチャーのジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC、ジャスダック上場)は、再生医療製品の自家培養表皮と自家培養軟骨の事業化可能性調査を中国とタイで始めた。同調査は経産省の平成25年度公募事業「日本の医療機器サービスの海外展開に関する調査事業」に応募・採択(委託事業)されたもの。現在、同社の筆頭株主で、今年9月に再生医療の専門部署を設置した富士フイルムと共同で、事業化に向けた現地調査に入っており、本格的に海外事業展開に乗り出す布石に打って出た動きとして注目される。

同社は、海外展開に拍車をかけるため、冨士フイルムの海外ネットを活用しながらアジア市場での調査を行なってきた。それを踏まえて経産省の公募事業に応募し採択されたことから冨士フイルムと共同で中国、タイ市場での本格的な事業化に向けた可能性調査に乗り出したもの。

培養表皮シートジェイス中国では、培養した表皮をシート状にしてやけどなどで受傷した部位に移植して皮膚を再生する表皮水疱症適応の「ジェイス」(商品名=写真左)を提供する目的で、事業化の可能性調査を行なっている。また、海外の患者を自国の医療機関に受け入れて治療を行なうメディカルツーリズム大国にのし上がったタイでの事業化調査は、軟骨細胞を増殖して作った膝関節症適応のヒト自家培養軟骨「ジャック」(同=写真下)の提供を目的に事業化の可能性調査を実施している。
培養軟骨ジャック「ジェイス」は、2007年10月に厚労省から製造承認を受け2009年1月に保険収載を取得。また「ジャック」は、2012年7月に製造承認を受け今年4月に保険収載を取得した。同社と冨士フイルムが共同で中国、タイで行なっている事業化調査は、自社製品を海外で事業展開することで収益に繋げるのが狙い。

経産省の委託調査事業は、政府が新成長戦略で打ち出した「日本の高度医療をパッケージで輸出し合わせて日本式の医療拠点を2020年度までに10ヵ所設立して世界の医療技術・サービス市場で現状の3倍、1.5兆円を海外展開(アウトバンド)で稼ぎ出す」との基本方針に沿って2年前から実施しているもの。2013年度は、同社を含めて29件が採択された。また、これまで事業化調査を踏まえて12月現在で医療法人北斗など3件の海外プロジェクトが事業化した。

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