皆さんの多くは、売上を伸ばすためにソーシャルメディアへの存在感が欠かせないことをご存じでしょう。しかし、的確な選択をしないと、手間ばかりかかって時間(つまりお金)を浪費することにもなりかねません。
ここでは、これらのプラットフォームをどう選び、あるいはどう組み合わせれば、インパクトを最大化し、より多くの顧客を引き寄せることができるのかをご紹介します。
執筆者:フローレンス・コワルスキー、ソーシャルメディアマネージャー兼ホテル業界とウェルネス業界専門ライター
Facebookは終わっていない ― 2025年現在
ここ数年、「Facebookは終わった」という声が繰り返し聞かれています。Instagramに取って代わられ、さらには(競合度合いはやや低いものの)YouTubeやTikTokにも押されていると。しかし現実には、このプラットフォームは決して見捨てられてはいません。
2025年の『We Are Social』のレポートによると、Facebookは今もなお、月間アクティブユーザー29億6000万人を誇る、巨大なソーシャルネットワークの一つです。そのうち、フランス国内のユーザーは3500万人で、Instagramの2100万人を大きく上回っています。女性ユーザーの比率も両者ほぼ同じで、Facebookが52%、Instagramが54%です。
さらに注目すべきは、フランスのインターネットユーザーの73.3%が月に一度はFacebookを利用しており、平均利用時間は月に12時間54分にも及ぶという点です。
美容業界においては、Facebookは特に魅力的なプラットフォームです。というのも、35〜54歳の女性のうち75%が、Facebookをほぼ毎日使用しているからです。一方、Instagramの女性ユーザーは18〜34歳に集中しており、この年齢層が61%を占めています。35〜44歳の利用者はわずか16%にとどまっています。
Facebookから読み取れるポイント
これからの数字から、次の3つの重要な点が浮かび上がります。
- Facebookはまだ健在であるたとえZ世代がInstagramを好み、Facebookから離れていたとしても、Facebookは依然として活発なプラットフォームです。
- 35歳以上の女性が主要ターゲット特に購買力が高いとされる35歳以上の女性層が、優先的にFacebookを利用しています。
- FacebookとInstagramは補完的な関係特に年齢層という観点から見ると、両者のターゲットは異なり、うまく使い分けることで相互補完が可能です。
エステサロンにとってFacebookにしかない便利な機能とは?
Facebookの最初の使われ方は、写真や情報を投稿することでした。これは現在でいうLinkedInやInstagramの使い方に近いものです。この基本機能は今でも利用可能ですが、Facebookには他のどのプラットフォームにも存在しない、エステサロンにとって戦略的に活用できる独自機能が追加されています。
Facebookグループ ― コミュニティ機能の核
Facebookグループとは、共通の関心やテーマを持つ人々が集まり、情報を共有したり、質問したり、交流したりできるオンライン・コミュニティです。
通常のFacebookページが「公開」されており、サロン側からのキャンペーン情報やイベント案内などの発信に使われるのに対して、グループはメンバー同士のやり取りや会話を中心とした場です。
グループには以下の3つの種類があります。
- 公開グループ
すべてのFacebookユーザーがコンテンツを見ることができ、誰でも自由に参加できます。 - 非公開(「可視」)グループ
検索では見つかりますが、グループの中身を閲覧するには管理者の承認が必要です。 - 非公開(「非表示」)グループ
グループ自体が検索結果に表示されず、メンバーでない限り存在すら確認できません。
エステサロンではどう活用すべき?
たとえば「美しく健やかに 〇〇市(地名)」という名前のグループを作成し、美容やウェルネスに関心のある人々を集めることができます。その中で、以下のような投稿を行うことが可能です。
- 美容に関するアドバイスやコツ、ルーティンの共有
- 提供している施術や商品に関する質問に対する回答
- お客様とサロンの間で交流できるスペースを提供し、親密な関係性を築く
- メイク、マッサージ、スキンケアなどのテーマでチュートリアル動画やライブ配信を実施
- 乾燥肌やシワなど、メンバーの悩みに応じたパーソナルなアドバイスの提供
- 無料施術や商品などを景品とした限定コンテストの実施
- 専門性を高めるための記事やテーマ別のライブ配信を投稿
こうした取り組みによって、グループ内でのあなたの存在感が高まり、「美しく健やかに 〇〇市」といえばあなた、という“トップ・オブ・マインド”の状態を築けます。これにより、お客様が新しい施術を試したいときや商品を買い替えたいと思ったときに、真っ先にあなたを思い出してくれるようになります。
広告色は控えめに
もちろん、商品やサービスの宣伝も可能ですが、グループを広告の場にしないことが重要です。なぜなら、あなたの目的は既存顧客だけに向けた情報発信ではなく、美容に関心があるすべての人(=将来的にお客様になる可能性がある人)に興味を持ってもらうことだからです。
そのため、宣伝は以下のような内容に限定することをおすすめします。
- 新しい施術や商品、キャンペーンなどをリリース時に紹介する
- バレンタインデー、ブラックフライデー、母の日などの特別な機会に、グループメンバー限定の先行オファーを提供する
効果的なFacebookグループを作るためのベストプラクティス
グループ名はわかりやすく、魅力的に
グループの価値観や目的が伝わるような明確で惹きつける名前をつけましょう。
サロン名をグループ名に含めても構いません(例:「美しく健やかに ― インスティテュートX」)。
ただしその場合、より「宣伝的な」印象を与えてしまい、アドバイスを求めている見込み客を引き寄せるのが難しくなる可能性もあります。
そのため、地域名(市や県など)を加えることで、実際の商圏に住んでいる人々の関心を引きやすくすることをおすすめします。
明確な編集方針(コンテンツの方針)を定める
投稿するテーマを事前に決めておき、定期的な「イベント感」を演出しましょう。例としては、
- 月曜の美容ルーティンのヒント
- 水曜のQ&Aライブ
- 月替わりのゲスト紹介 など
こまめな投稿と返信で「存在感」を保つ
グループメンバーの関心を維持するには、定期的に投稿し、コメントや質問にも積極的に反応することが不可欠です。
確かに時間はかかりますが、これはあなたの営業活動の一部と考え、商業予算の一環として取り組む価値があります。
グループ内のルールを設定し、秩序を守る
メンバーのふるまいについてガイドライン(例:敬意ある発言、ポジティブな交流など)を定めましょう。
もし、他のメンバーに不快感を与えるような言動が見られた場合は、ためらわずにその人物をグループから外すことをおすすめします。
放置すると、雰囲気が悪化して、これまで築いた信頼や努力が台無しになってしまう恐れがあります。
イベント機能 ― Facebookならではの強力な差別化ポイント
Facebookの「イベント」機能は、ユーザーや企業がオンラインまたは対面でのイベントを作成・共有・管理できるツールです。
この機能を使えば、開催日時、場所、概要などの基本情報を簡単に伝えられるうえ、参加者の把握もしやすくなります。
他のSNSでも一度だけイベント情報を見かけることはありますが、後で探しても見つからない…そんな不便さを解消できるのがFacebookイベントの強みです。
グループと同様に、イベントにも2種類あります。
- 公開イベント:誰でもアクセス可能で、検索やおすすめに表示されます。
- 非公開イベント:招待を受けた特定のFacebookユーザーのみが閲覧可能です。
イベントページでは、以下のことが可能です。
- 視覚素材(画像)、会場、日時、詳細などの実用的な情報の掲載
- オンライン予約の受付
- 参加者への自動リマインダー送信
- イベント専用スレッドでの参加者との交流
エステサロンでの活用法
イベントはオンラインであっても構いませんが、実際に来店してもらう機会として開催すれば、見込み客とのリアルな接点になります。以下のように、サロンの活動に合わせたイベントで日常にリズムを加えましょう。
- 体験会・オープンデー
→ 無料または割引価格でのミニ施術(マッサージや肌診断など)を提供。使用している製品の紹介や、スタッフとの交流も。 - 実践型ワークショップ
→ 自宅でも再現できる美容テクニックを学ぶための体験型セッション。 - 新製品のローンチイベント
→ 使用ブランドの新アイテムの紹介・体験会。 - VIPナイト
→ 常連顧客向けの特別イベント。軽食を囲みながら、無料のクイック施術も楽しめるリラックスした雰囲気で開催。
こうしたアイデアは無限にあり、Facebookの「イベント」機能を活用すれば、準備や告知、フォローアップの手間を大幅に軽減できます。メールや電話でのリマインドも必要なくなり、あなたのイベントが確実に伝わるようになります。この機能を武器に変えましょう。
成功するFacebookイベントを作るためのベストプラクティス
説明文は丁寧に作り込みましょう
→ 元気で魅力的な文面にし、読み手が「行きたい!」と思えるように。
写真やビジュアルも工夫を
→ 目を引くビジュアルを追加しましょう。よくあるフリー素材よりも、あなた自身やサロンの実際の写真のほうが信頼感が生まれます。「少し粗い仕上がり」でも問題ありません。
- 参加者と交流する: 質問に答えたり、リマインダーを投稿したり、ディスカッションを盛り上げたりしましょう。参加したくなるような雰囲気を作り出し、「これは参加すべきイベントだ」と思わせることが大切です。
- 行動を促す呼びかけを追加する: 予約をするためのリンクや、チケット購入のリンク、または電話をかけるリンクなどを追加しましょう。
- ターゲット顧客をよく知っているなら: Facebook広告を使ってターゲットを絞り、イベントの認知度を高め、より強い関心を持つ地元のオーディエンスに届くようにしましょう。
参加者との積極的な交流を!
質問に答えたり、リマインダーを投稿したり、ディスカッションスレッドを盛り上げましょう。「これは絶対に参加すべきイベントだ!」と思わせるような雰囲気作りが重要です。
「行動喚起(CTA)」を忘れずに
予約用リンク、チケット購入ページ、電話番号など、具体的なアクションに繋がる導線を設けましょう。
ターゲットが明確であればFacebook広告を活用
地域の関心層にリーチするために、Facebook広告でイベントの可視性を高めるのも有効です。
マーケットプレイス機能について
Facebookには他にも「マーケットプレイス」などの機能がありますが、フランスではエステサロンによる活用はまだ一般的ではなく、商業的なリソースを注ぐには時期尚早です。
まとめ:Facebookはまだまだ活用の余地あり!
「Facebookはもう終わった」と言われがちですが、実際には以下のような強力な活用ポイントがあります:
- Instagramでは届きにくい年齢層(主に35歳以上の女性)にしっかりアプローチできる
- 他にはないツール(グループ、イベントなど)を活用して、顧客とのインタラクションを深め、購買や来店といった具体的な行動を促すことができる
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