美容医療、健康食品送りつけ商法の相談相次ぐ
2014.01.10
編集部
独立行政法人「国民生活センター」(東京都港区高輪)に美容医療や高齢者に健康食品を送りつける商法への苦情が全国から数多く寄せられている。健康食品や化粧品のマルチ商法、ネット通販、海外ネット販売でのトラブルも多く寄せられている。健康食品送りつけ商法の相談件数は昨年4月から今年1月6日現在で27,779件、美容医療ではシミ取りや包茎矯正も含めて同1,421件に達した。
同センターによると、美容医療で最近目立つトラブルは顔の「法令線」などを取るリフトアップ。顔の皮膚が重く垂れさがっているのを上に吊り上げる施術で、糸を入れて引き上げる方法でのトラブルが多い。「初めにチクリとするだけです。5年間持続しますから5歳若返ります」と美容医療クリニックに言われて施術を受けた女性が「痛くて眠れない」と訴えた。「今日契約するなら施術代は240万円だが、120万円にします」と言われて契約し施術を受けた女性も同じような痛みだペインクリニックに通院する人もいる。駅構内のフリーペーパーやネットの広告を見てクリニックを訪れる人も多いという。契約すると3万円のクーポン券が送られてきたりする。
美容医療は通常保険が利かず、自由診療である。通常の医療に比べて急ぐ必要がないので、クリニック側に十分な説明責任があるとの裁判所の見解もあるが、実際には医師ではなくカウンセラーというスタッフの女性が費用なども説明している場合が多い。包茎矯正の施術では「7万円でOK」というネット広告を信じてクリニックを訪れたら120万円も請求された若い男性もいた。「ヒアルロン酸の注射も1本10万円だが、あなたの場合は4本必要だ」と言われた例もある。「インフォームド・コンセント(事前の説明責任)が不十分である」と同センターは指摘する。
高齢者を狙う健康食品送りつけ商法では、悪質業者が逮捕されたケースもあるが「あなたが申し込んだ健康食品の準備ができたのでこれから送る」と業者が高齢者に電話を掛け、「申し込んでいない」と断っても健康商品を送りつけて来る。支払いを断ると「弁護士を連れて行くぞ」「近所に言いふらす」などと脅し 、怖いからとつい支払ってしまう。500万円以上も支払った高齢者もいた。実際には健康食品は市販では数百円程度の品だ。
「500円で化粧品のお試しができます」と広告する化粧品のネット通販では、一度注文したら、請求書には「定期購入」と記されていた。海外ネットで美容クリームを注文してクレジットで決済したら、定期的に送られ続け毎回引き落とされていた。「解約するにはどうしたよいか、英語ができないので」という訴えも寄せられた。ネット通販するにはサイト上の表記きちんとチェックすることが肝要である。通販は訪問販売や電話による勧誘販売、マルチ商法(連鎖販売取引)と違って、冷静にチェックする期間があり「クーリングオフ」(一定期間内の無条件解約)ができないから、慎重さが必要だ。