“家族愛”からメンズコスメを牽引~「アラミス」50周年(上)
2014.07.24
編集部
メンズコスメを牽引してきたエスティ ローダー グループの「アラミス」が今年7月でブランド誕生50周年を迎えた。アラミス事業部の片桐さゆり・事業部長に話しを伺いながら、女性の化粧品が主流の時代から常に先進的なシリーズを発表してきたアラミスのブランドの変遷とそのマーケティング手法を探った。
「アラミス」が誕生したのは1964年。”The Master Plan for Grooming”をテーマに頭のてっぺんからつま先まで、トータル22製品をそろえた「男性総合化粧品」ブランドとして誕生したアラミス。男性がケアをするという意識すらなかった時代。今振り返ってもアラミスの品揃えは先進的だった。
アラミスは、男性が男性のために開発したわけではなく、女性視点から誕生したブランドである。既に米国化粧品業界では第一人者となっていたミセス・ローダーが夫でありビジネス・パートナーでもあるジョゼフ・ローダー氏の頬が、ニューヨークの厳しい寒さで肌が赤く荒れているに心を痛め、女性用クリームを勧めたところ、断られたことから、男性専用の化粧品を作ってケアしてあげたいという、いわば”家族愛”が出発点だった。
1987年、アラミスは男性の肌をいつまでも若々しく健康に保つために、男性専用スキンケアブランド「ラボ シリーズ」を発表する。男性の肌の特徴や男性のライフスタイルに即した柔軟な発想と継続的な研究、先端テクノロジーを結集し、男らしく現代的なものを目指した。研究室の中から誕生したことから、シリーズは”ラボ シリーズ”と命名された。当時は、女性の化粧品市場にやっと美容液が登場し始めた頃。「男性のスキンケア」を前面に押し出した「ラボ シリーズ」はかなり画期的だった。
その後、アラミスは、「美容」と「健康」がいったいとなって考えられ始めた2001年、ラボシリーズから、男性の老化に特化した『エイジ レスキュー』を発表し、支持を集める。「”アンチエイジング”製品は以前にも提案したことはあったが、やっと時代が追いついてきた感があった」と片桐部長。『エイジ レスキュー』は2013年9月に『エイジ R+』へと進化し、高級男性化粧品市場におけるエイジングケア製品カテゴリーでNo.1の販売個数を誇っている(ボーテリサーチ調べ)。
メンズコスメに対する認識が少しずつだが浸透してきた2006年、アラミスは新たな展開を見せた。それは女性視点から誕生したアラミスが、改めて男性視点に立ち戻っての展開だった。1「洗う」、2「潤す」、3「保つ」という3ステップを、ワンプッシュ、ワンアクションというシンプルにパターン化して、”システム”として製品に展開した。
メンススキンケアの未来を予見して2010年、アラミスは、最先端技術とメンズスキンケアの英知を集結して、ラボ シリーズ最高峰のプレミアムライン『マックス LS』シリーズを発表。メンズ最強のエイジングケアとして、まずクリームを提案する。この翌年には、美容液と目元用クリーム、2013年にクレンザーと化粧水、乳液が加わり、フルラインを完成させた。
- 参考リンク
- アラミス