三相乳化技術による界面活性剤フリー化粧品の肌荒れ改善効果を確認

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2012.11.19

編集部

株式会社東洋新薬は、三相乳化技術による界面活性剤不使用の化粧品が、肌への刺激性が低いということに起因する肌荒れ改善作用を臨床試験により確認した。

三相乳化技術とは、ナノ分子の物理的作用(ファンデルワールス力(りょく))により、水分と油分の乳化を行う技術。食品や洗剤などへの利用も期待されている神奈川大学の特許技術だ。またこの技術を用いて化粧品を製造した場合、肌への負荷が大きいとされている界面活性剤を使用せずに、油分を大量に用いて化粧品を製造することができる。さらに大きな粒子も安定して配合できるため、これまで両立が難しいとされていた“感触が良く、安定性に優れている”化粧品の製造が可能になった。

この度の臨床試験では、成人6人の腕2か所を人工的に肌荒れさせ、片方には三相乳化技術による界面活性剤フリーの化粧品を、もう片方には界面活性剤を使用した化粧品を10日間塗布した。試験終了後は、その部位の経皮水分蒸散量(皮膚のバリア機能を示す指標)と角層水分量(皮膚の潤いを示す指標)を測定、肌荒れの回復状態を測定。その結果、下の図表の通り、三相乳化技術を用いた化粧品を塗布した部分には、経皮水分蒸散量が低下、角層水分量の上昇がみられた。これにより、同技術によって製造した化粧品は、肌荒れを早く回復させ、肌への刺激性が少ないことを確認した。

東洋新薬によると、他の素材の価格を考慮せず比較した場合、三相乳化技術は界面活性剤と同程度のコストで製造が可能という。すでに同社では、この技術を使用した化粧水、美容液、乳液、クリームを開発しており、今年6月に開催された「化粧品開発展」で発表した際でも来場者の反応に手応えを感じていたようだ。また「オールインワンジェル」のODMを受託、10月に商品化をしている。現在は多数の化粧品メーカーが、この技術を使用した化粧品を開発中だという。

「肌への刺激性が少ない化粧品が使いたい」と、化粧品の配合成分に気を使う消費者が増加するなか、三相乳化技術による界面活性剤フリー化粧品製造の成功と、その肌負担の低さが証明されたのは大きなニュースであり、化粧品開発における新たな一歩となるといえる。

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