仏ロレアル、卸売大手と提携してサブサハラ・アフリカで成長戦略加速
2015.03.16
編集部
世界最大の化粧品メーカー・ロレアル(本社フランス)は、3月6日、豊田通商株式会社が出資するフランスの商社CFAO S.A.とコートジボワールでの化粧品生産・卸売に関する 提携合意書に署名したことを発表した。
今回の契約により、両社はサブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠より以南のアフリカ地域)において新たなパートナーシップを確立。コートジボアールにおいてCFAOはロレアルの唯一の総合卸業者となり、流通チャネルやアフリカ諸国とその市場に関する豊富な知識、および化粧品の生産設備や梱包部材を提供していく。
両社は、アフリカ市場での専門知識を反映させてヘアケアとボディケアブランドの開発を強化するとしている。ロレアルは、一年前にサブサハラアフリカ(サハラ砂漠より以南のアフリカ地域)での化粧品およびパーソナルケア市場のナンバーワンを目指すビジネス成長戦略を打ち出しており、今回の提携はこれを加速するものとみられる。 ロレアルは1980年代後半からアフリカ人の髪質の研究を進めており、米国でアフリカ人を含むエスニックな皮膚と髪の研究所「 The L’Oréal Institute for Ethnic Hair and Skin Research」を開設して新製品を市場投入してきた。同社傘下のSoftsheen Carsonのヘアケア製品はアフリカ系アメリカ人の間で支持を得られるブランドに成長し、アフリカ市場においてもロレアルパリ、メイベリンの製品と並んでビジネス展開している。さらに、2013年には 東アフリカのボディケア市場のリーダーであるブランドNice & Lovelyを買収して、アフリカ市場でのプレゼンスを強化した。
アフリカ開発銀行の報告*によれば、アフリカのミドルクラスは、2010年には3億人(人口の34%)に達しており、2060年には11億(人口の42%)に達する可能性があるという。ロレアルの2014年の売上高は225億ユーロだった。同社の海外に製造・販売・開発の拠点を構築し地域性を尊重した事業展開とスケールメリットを追求した事業規模の拡大戦略の今後の成果が期待される。 *データ参照「Africa in 50 Years’Time The Road Towards Inclusive Growth 」 African Development Bank, Tunis, Tunisia, 2011年9月発表