〝先進国日本〟のエステティックは何処へ向かうのか?(後編)

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2013.02.21

編集部

今、知っておきたい「ソシオエステティック」(後編)

―ソシオエステは、社会的弱者の潜在ニーズに応える

P1600097小現在、卒業生は主に介護現場や緩和ケア病棟で活動している。求められるのは、体調やTPOに応じた的確なケアを提供できるだけのより専門の知識と実技だ。本格的な美容ケアを施術することもあれば、メイクやネイル、アロマケアが求められる場合もあるという。まだまだ卒業生も少なく、活動はボランティアとしてスタートするなど苦労があるのが現状だ。しかし、心あるエステティシャンたちは「エステティックに対する私たちの希望と期待が、やっとかたちになった」と、積極的に情報交換しながら知識を深め、活動の輪を広げている。さらに、65歳以上の高齢者人口が30%を超えるといわれる2025年問題を控える今、ソシオエステティックが新たな活動分野を開拓する可能性は非常に高い。「元気で活躍できる高齢者を増やすために、エステティックにもできることがある」と伏川氏も啓蒙活動に取り組んでいる。

ソシオエステティックの可能性は介護分野に留まるものではない。伏川氏は元々看護師であり、昭和医大形成外科でスキンケアリハビリを17年間担当してきた。「慈愛に満ちたソシオエステティックがメディカルエステティックを補完する役割を担う」とも感じたという。また、弱い立場になりやすい女性や子供を対象にした社会福祉分野への参入も目指す。

近い将来、エステティック業界にも、団塊世代やシルバー世代の健康・美容ニーズに応える分野での市場の拡大と、それに対応するための新たな人材育成が必須となる。しかし、「きれい」に特化し独自発展してきた業界だけに、現在の体制のまま幅広いユーザーの信頼獲得を目指すのは難しい。学問に基づく知識経験のあるソシオエステティシャンの養成と地位確立、そして、広義のソシオエステティックを利用できる環境を整えることで、潜在ニーズの顕在化につながっていくと予想されている。

「サロンユーザーが広がりはじめ、エステティシャンが新たなお客様の肉体、精神面の特徴や変化を学ばなければいけない時代になっています。例えば、更年期のお客様やシニア層。こういったニーズにもソシオエステティックは応えられます。まずは、100名の卒業生を輩出することが協会の課題。ソシオエステティックの神髄は、人と人とのつながりであり、思いやりであることを意識し、ぜひ学んで欲しい。」と伏川氏は呼び掛けている。

参考リンク
一般社団法人 日本エステティック協会
TEL.03-3234-8496

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