ロレアル世界戦略を加速、インド、インドネシア強化
2013.03.25
編集部
世界13ヵ国に現地法人を設立し、売り上げ規模2兆円強を誇る世界最大の化粧品メーカーロレアル(本社フランス)は、化粧品戦略を一段と加速する。中でもインド、インドネシア、中国を重点地域に定め、販売攻勢をかける。
同社の業績は、2011年12月期売上高203億4千万ユーロ(前期比4.3%増、邦貨換算2兆950億円)、営業利益30億5千万ユーロ(同18.6%増)、利益24億4千万ユーロ(同8.9%増、同2513億円)となった(1ユーロ103円換算)。ブラジルや中国での化粧品の売り上げが寄与、欧州での業績不振を相殺した。特に、ロレアルチャイナは、売り上げベースで10億ユーロを超す業績を上げロレアルグループで第3位の実績を上げた。2012 年12月期業績は、上期(1月-6月)で売上高112億ユーロ(前年同期比11%増)、営業利益億19億ユーロ(前年同期比11%増)、利益16億3千万ユーロとなった。下期も新興市場での販売が引き続き好調なことから2012 年12月期は、売上高が前期比約18%増の約259億ユーロを見込むなど増収増益を実現する。
同社の化粧品戦略は、海外に製造・販売、開発の拠点をいち早く設立し、現地に根差した事業活動を展開。同時に、世界市場でのシェア拡大を狙って買収によるスケールメリットを追求し、事業規模の拡大を図っている点に大きな特徴がある。同社は、世界の化粧品市場のメッカとして有望視されるインドネシア・西ジャワ州に世界最大規模を誇るスキンケア、ヘアカラー商品などの新工場を建設(2012年12月,建設費約99億円)し、2013 年春から年産3億個の計画で本格稼働を始める。東南アジアへの輸出(7割)とインドネシア市場(3割)への安定供給を図りライバルのユニリーバやプロクター&ギャンブルなどを追撃するのが狙い。現地法人ロレアルインディアを中心にインド市場で一段と攻勢をかける。ロレアル傘下で米高級パーソナル化粧品メーカー「キ―ルズ」と連携してチューブタイプのヘアカラー商品や男性用の洗顔料、美白クリームなどをタイ、シンガポール、マレーシアなど東南アジア各国より15%~20%前後安い価格帯に設定し、中間層にターゲットを当てて販売を始めている。現在、同インディアの売り上げ規模(2012年12月期)は、160億ルピー(約270億円)と見られるが2020年までにグループ内で10位以内の売り上げに持って行く計画。同社の中国現地法人ロレアルチャイナは、年率2ケタ成長を連続10年継続するなど勢いが止まらない。ロレアルチャイナの業績は、売り上げベースで2011年107億元、2012年120億5千元となった。現在、男性化粧品を中心に薬局、ドラッグストアでの販売とネット通販の強化、省都市への販路拡大などに取り組んでいる。
アジア太平洋の中核拠点に位置付け百貨店中心に高級化粧品を販売する日本ロレアル(1997年7月設立、未上場)は、アジア市場の拡大に対応して御殿場工場の生産能力を2倍に引き上げる。「ランコム」や「シュウウエムラ」などの高級ブランド」を生産し、2017年からフル稼働する。同時に、アジア市場で人気の高い美白、抗加齢対応の化粧品開発に力を入れ、新規に市場投入する。ロレアルは、世界市場でのシェア拡大を狙って企業買収によるスケールメリットを追求し、事業規模の拡大を図ってきたのも特徴だ。2006年から2012年までの期間、主な企業買収は「英ボディショップ」や「米アーバンディケイ」など6件にのぼる。今後、中南米やアフリカ、中東などにも食指を伸ばし合わせて医薬品の開発を強化しながら世界戦略をさらに加速させよう。