株式会社資生堂（東京都中央区）は、加齢に伴う真皮空洞化のメカニズムを解明したことを発表した。

同社では、加齢に伴い皮膚の真皮が失われて脂肪に置き換わること（真皮の空洞化）を見出し、真皮が空洞化している人ほど外見上も顔がたるんでいることを明らかにしてきたが、その原因はわかっていなかった。

このたび、真皮が空洞化している部位では汗を分泌する器官「汗腺」が著しく委縮していることを世界で初めて発見した。

これまで培ってきた皮膚解析技術をさらに応用し、X線-CT（Computed Tomography：コンピューター断層撮影装置）を用いることにより、皮膚の内部の微細な構造を三次元で解析することに成功した。

解析の結果、真皮が空洞化している部位では、「汗腺」が、加齢に伴い著しく委縮していることを世界で初めて発見。真皮の空洞化と汗腺の委縮の部位が一致することから、真皮の空洞化に汗腺の萎縮が関与していることを明らかにした。

汗腺は真皮の深い部位に存在し、そこで分泌された汗が細長い導管を通って肌表面へ届けられる。

30代女性の皮膚では汗腺は真皮の最も深い位置にあったが、60代女性の皮膚では、汗腺が表皮近くの浅い位置へ上昇していた。加齢に伴い汗腺が萎縮すると同時に、委縮した部位が皮下脂肪に置き換わることで、空洞が拡大したと考えられる。

同研究成果により、汗腺と真皮空洞化の関係が明らかとなり、たるみなど肌の老化改善のターゲットが明確になった。

同社は皮膚科学研究の総合的な知見を活かし、今後も悩みを解決するイノベーションを提供していくとともに、汗腺の委縮が真皮空洞化の鍵であることを解明した同知見を基に、新たなスキンケアへの応用を目指す。