小林製薬、アロエベラ液汁の美肌・皮膚浸透等の効果を実証(上)
2017.05.23
編集部
小林製薬株式会社(大阪府大阪市)は、アロエエキスを配合した化粧品開発と販売に力を入れて取り組んでいる。アロエベラ液汁が加水分解ヒアルロン酸の皮膚浸透を高めることを明らかにし、今年3月に開かれた日本薬学会で成果を発表した。また、アロエベラ液汁(アロエベラの葉肉部分を取り出し、圧搾して得られる液汁のこと)を配合した化粧品や育毛剤を商品化し、直営店舗と通販、販売代理店を介して量販店、ドラッグストア等に卸販売するなど拡販に売って出ている。
同社は、消費者に「あったらいいな」を形にするブランドスローガン掲げて、アロエ商品を主力商品に育てることを基本方針に掲げた。
その基本方針に沿って2015年から近畿大とアロエベラ液汁に含まれる成分の皮膚作用について共同研究を進めた結果、美肌効果を発揮することを発見し、和漢医学学会で成果を発表した。続いて今年(2017年)3月に、近畿大との共同研究でアロエベラ液汁に加水分解ヒアルロン酸の皮膚浸透を高める効果があることを発見し、日本薬学会で成果を発表した。
近畿大との共同研究でアロエベラ液汁に加水分解ヒアルロン酸の皮膚浸透を高める効果が明らかになったのは
①加水分解ヒアルロン酸の皮膚浸透を高める作用があることが判明
②角質層の奥深くまで成分を届ける作用
③アロエベラ液汁に含まれる成分のうち、低分子の成分が浸透促進に寄与しているなど、3点が判明した。
3点の効果についての試験として
①のアロエベラ液汁が加水分解ヒアルロン酸の皮膚浸透を高めることを裏付ける評価法として、3次元培養ヒト皮膚モデルを用いて評価。また、3次元培養ヒト皮膚モデルの角質層側からアロエベラ液汁と加水分解ヒアルロン酸(蛍光標識、分子量3200)を同時に添加し、3時間後の加水分解ヒアルロン酸の皮膚浸透量を蛍光強度より算出した。
②の角質層の奥深くまで成分を届ける作用を裏付ける試験として、アロエベラ液汁の浸透促進効果をヒトで確認するため、被験者の前腕部に、アロエベラ液汁と蛍光色素(フルオレセインナトリウム)を同時に塗布し、15分後に洗い流した。テープストリッピング法により角質層を剥離しテープ上の蛍光を観察した。その結果、蛍光色素が角質層の奥深くに浸透している様子をとらえた。これにより、アロエベラ液汁は、同時に塗布された成分を角質層の奥深くまで浸透させることがわかった。
③のアロエベラ液汁の低分子成分が浸透促進に関与することを明らかにするため、アロエベラ液汁を低分子成分と高分子成分に分けて効果を比較したところ、分子量3000未満の低分子成分に高い浸透促進効果が認められた(図参照)。