2年目を迎えた漢方アロマコース「補完医療への関心高まる」

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2017.07.13

編集部

日本薬科大学が4月から開講しているキャリアアップを目的とした「漢方アロマコース」が好評だ。今年で2年目を迎え、講師やカリキュラムを新しくして、受講生のニーズに対応。同コースのPRを担当する特別顧問(地域連携推進課長)の津川博光氏は「今年も募集開始からあっという間に定員(50名)に達した。漢方をはじめとした補完医療に対する関心が高まっていることを実感する」と話す。

「漢方アロマコース」は、社会人の学び直しを支援する文部科学大臣認定「職業実践力育成プログラム」(通称BP)に基づき、2016年4月に開講。日本の薬学部で認定を受けた唯一のBPとなる。「厳しい大学選定の時代の中で、いかにして当大学の特性を多くの人に知ってもらうかが課題だった」(津川氏)といい、漢方薬学の特性をBP枠で活用することで、幅広い層に補完医療を体系的に学んでもらい、地域社会に貢献しようという狙いがある。

同コースでは、漢方(中医学、生薬)やアロマテラピーをはじめ、鍼灸、サプリメント、ヨガ、メイクセラピー、アーユルベーダ、薬膳など幅広い分野の講義を開設。さらに、実際に見学したり、体験できる特別講座も用意されているのが特徴で、例えば漢方製剤工場や漢方薬局の見学、薬草観察などの現地研修、軽井沢での宿泊集中講座などがある。

今年4月から2年目の講義をスタート。今年度(2017年4月~2018年3月)は昼食付きの講義が23日間、薬用植物園、資源調査、漢方工場などの見学が3日間、ヨガ、アロマテラピー、薬膳などの実習が8日間予定されている。原則として毎週日曜日に東京・お茶ノ水キャンパスにおいて開講。授業時間は全130時間あり、このうち120時間以上受講すると履修証明書が交付される。「昨年は130時間全て受講した人は50名中10名いた。130時間のうち8割以上受講した人が大半で、それだけ皆さん熱心だし、ニーズの高さを実感した」(津川氏)。

開講当初は、薬剤師や看護師、登録販売者など医療系従事者をターゲットに考えていたという。「実際、蓋を開けてみると、ヨガの先生や化粧品販売店社長など何らかの専門職の女性が8割」(津川氏)といい、医療系の受講生は全体の2~3割にとどまっている。男女比率でいうと、女性が9割と圧倒的に女性に大人気だ。

講師陣を見ると、同大学学長の丁宗鐵氏をはじめ、ひめのともみクリニック院長の姫野友美氏、IFPA認定アロマセラピストの中山恵美子氏、屋外ヨガイベント「パークヨガ」の生みの親の石原来美氏など多士済済。特にアロマの講義では「受講生から質問攻めに合い、途中で質問を打ち切った」(津川氏)ほどの過熱ぶりを見せている。また、薬膳への関心も高く、「昨年、軽井沢合宿で薬膳体験を行ったが、今年もやってほしいとの要望が強く、新たに薬膳研究家を委嘱した」(同氏)。

同コースは、来年も引き続き継続開講していく予定。その際の課題としては、受講生全員が必ずしも全ての講義を受講したいわけではないことから、人気のある講義だけ単独で開講するスポット受講の拡充を検討している。今年は、「第一期生を対象に特別料金で受講できる優遇策を行っている」(津川氏)。さらに、一つの講義をシリーズ化した短期カリキュラムの開設も検討中だ。

継続開講となると、毎回同じ講義と同じ講師では受講生が飽きてしまうので、講師の刷新も課題の一つ。現在も、毎回、各講義の終了後に受講生へのアンケートを実施しており、その結果を基に講師を評定。いかにして受講生のニーズに応えていくか模索している。「アンケートの結果はとてもシビア。だから毎回、良い意味で緊張感がある。講師もいかにしてわかりやすく講義を進めるか知恵を絞っており、レジュメの作成やしゃべり方も以前と比べて向上した」(津川氏)という。

さらに、同コース終了後のステップアップ希望に対する受け皿づくりも課題。まずは来年に、「漢方エキスパート」という同大学独自の認定書を発行する予定で、その試験準備を進めているところ。基本的には漢方・生薬系の科目を一定単位数以上受講した人を対象としているが、「一般も受験できるよう門戸を広げる」(津川氏)ことで検討している。

「漢方アロマコースの受講生は、重要な広報部員だと思っており、ここで学んだ良いところを他の人に広く伝えていってもらいたい」(津川氏)としており、地域社会への貢献につながればと期待している。

参考リンク
日本薬科大学

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