開発中糖尿病薬に大幅な減量効果
2017.10.25
国際部
肥満者の体重を劇的に減らすことができる薬の試験結果が10月23日、英国リーズ大学からプレスリリースされた。実験薬は2型糖尿病治療薬で国内承認申請中の「セマグルチド」。デンマークの製薬会社ノボノルディスクファーマが開発した。その化学構造は、飢餓感を減らすために脳の視床下部にある食欲調節センターに作用すると考えられているホルモンのGLP-1の類似体である。そのため、今回の研究は、セマグルチドと食欲調節薬に類似点があることから、この薬が脳の食欲調節受容体に作用することによって肥満に効果があるかどうかを調査するために実施された。研究の詳細は「Journal Diabetes, Obesity and Metabolism」に掲載されている。
試験は体脂肪指数(BMI)が30〜45 の28人を対象にセマグルチドとプラセボ(偽薬)の2グループにわけ、またセマグルチドとプラセボを逆にして実施した。セマグルチドの週1回の投与を12週間にわたって受けた場合、平均5kgの体重減少が見られた。現行の肥満薬では6カ月かかると言われる5kgの減量が、半分の期間で達成できたことになる。また、この減量の大半は体脂肪が減ったことによるもので、研究者らはセマグルドの有効性を再認識した。セマグルドの投与により飢餓感が減少し、高脂肪食を好み傾向に歯止めがかかり、平均して1日のエネルギー摂取量が24%低下していた。