米国で新しいビジネスモデルのヘアサロンが多店舗展開
2013.07.17
編集部
新しいビジネスモデルのヘアサロンで「ヘアカット、毛染め、パーマのメニューが一切ない」サロンがアメリカで注目されている。Drybar(本社: カリフォルニア州アーバイン市)は、ブロードライに特化したサービスの提供で、カリフォニア州15店舗、ニューヨーク州5店舗、テキサス州3店舗を含め、6つの州で28店舗を運営している。
店舗はサロンとは称さずbar(バー)と呼ぶ。Drybarのメニューは、「マンハッタン」、「マイタイ」などドリンクメニューのようであるが、サービス内容は洗髪してから髪の毛をその日の顧客の要望に合わせて、ストレート、カールなどドライヤーで乾かしてスタイリングする内容。サービス料は一律で35ドル。オプショナルとして、マッサージ10ドル、ヘアリペアトリートメント20ドルなどを揃える。午前7時から開店する店舗があり、無料のWiFiサービスを完備しているので、働く女性が朝、コーヒーを片手に入店しビジネスミーティングの準備をして出社するという光景も珍しくない。
一般的に高級ヘアサロンと言えば、スタイリストの指名と予約が優先してサービス料が高額になるというイメージが先行する。一方、このブロードライのビジネスモデルは予約なしでも気軽に立ち寄れて、短時間でプロフェッショナルなスタイリングのサービスを提供することを戦略とする。さらに価格設定が消費者に受け入れやすいとの指摘がある。経営者側の視点では、サービス提供に要する時間が1時間程度なので、店の回転率を上げることが可能で高収益が見込める。低迷するヘアサロン業界の中でニッチ市場として業績を伸ばしている鍵がこれらの要素に潜むのではないかと業界アナリストは分析する。
南カリフォルニア州では、このニッチ市場を狙う同業者の参入が活発になっている。カナダのトロントを拠点に先行してビジネス展開をしているbloがビバリーヒルズ市、ウェスト・ハリウッド市などの知名度の高いショッピングエリアに6つの店舗を開いた。MyBlow LAは新参者として、ビバリーヒルズ市とアーバイン市に店舗を構えた。両者ともブロードライの基本料金は35ドルに設定している。
Drybarの創業者のアリ・ウェブ氏は2人の子供を持つ母である。2008年にStraight-at-Homeという顧客の家に出張してヘアブローを提供するサービスを開始した。友人、知人を中心にサイドビジネスとして当初は展開していたが、ウェブ氏のテクニックとサービス内容が口コミで大評判になり、個人の出張サービスから会社を設立するに到った。現在では、働く30~40代の女性、女子会に繰り出す20代の女性、誕生日会やフォーマルに参加するティーンなどと大幅に顧客層を拡大させた。一店舗当たり、月に平均2,000人から2,500人の来客を見込んで経営計画を立てるという。ヤフーのブランドマーケティング部の副社長だったマイケル・ランドー氏が最高経営責任者(CEO)として経営陣に加わり、今後も全米の主要都市への出店をより一層加速する勢いだ。