【連載】大手化粧品会社の研究㊴コスモビューティーの会社研究 ~近畿大と共同で光老化抑制の新素材を開発~(下)

2018.07.24

特集

編集部

シワやたるみの原因として近赤外線による光老化が問題となっている。特に、近赤外線に対して肌の防衛効果を実現するために、これまで酸化チタンや酸化亜鉛などの白色顔料が使われているが、肌の白浮きが生じるなどの問題を抱えていた。
そうした中、コスモビューティーは、2018年1月に近畿大学と共同で光老化の抑制とつけ心の良さを合わせ持つ新素材「ニルエイジ」の開発に成功した。現在、ニルエイジは、特許を申請中。
エルエイジは、肌が白浮きしない透明性と滑らかさが特徴。同社では「UⅤ製品やメイクアップ製品の使用感を向上させつつ近赤外線による光老化から肌を守る」という。

ニルエイジの開発にあたって両社は、一般的に水が近赤外線をカットすることから、水を抱え込む素材が近赤外線を遮蔽すると判断。そこで、保湿効果を持つ植物由来の素材に着目してスクリーニングを行った。
スクリーニングでは、糖やアミノ誘導体が近赤外線の吸収効果が高いことを確認。同時に、近赤外線吸収物質を効率よく化粧品に配合するため、複合化を行った。
複合化の基盤となる粉体として体質顔料の中から透明性が高く白浮きしにくい「マイカ」を選定し、独自製法で近赤外線吸収物質を複合化した。

こうしたニルエイジの効能・効果を実証するため、テープに試料を塗布した後、分光光度計で、近赤外線の領域である1100ナノメートルの光の透過率を測定した。
マイカ単体での透過率を100%として相対値を算出したところ、単純配合では、近赤外線をほぼ透過した。これに対し、ニルエイジでは、近赤外線を36%カットすることが実証された(グラフ・近赤外線の透過率=カット効果参照)。また、白浮きの確認試験では、ニルエイジを配合したルースパウダーでは、白浮きが抑えられていることを確認した。
これらの実証試験によるエルエイジの効果が明らかになったことについて、同社は「ニルエイジは、真皮層のコラーゲンやエラスチンにダメージを与える近赤外線をカットすることが判明した。これによりUV製品やメイクアップ製品の使用感を向上し、合わせてUV製剤への応用が可能になった」として現在、OEM・ODM提案に一段と力を入れて取り組んでいる状況。

東京ラボ、大阪ラボを中心とした研究開発は、同社のオリジナル製品である基礎化粧品、へアケア(シャンプー、リンス等)、医薬部外品および洗剤やワックスなどの化成品などを営業部門と連携して取り組んでいる。年間の試作開発品は、約3000品目にのぼる。そのうち、製品化されるのは、30品目程度で、製品化比率は平均10%程度とみられている。

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