【連載】大手化粧品会社の研究㊵アンファーの会社研究 ~中国、韓国等で越境ECを展開、グローバル化に弾み~(下)

2018.08.1

特集

編集部

アンファーは、シャンプー「スカルプD」をはじめ、化粧品・医薬品・サプリメントなどの商品・サービス等の拡販など越境EC(電子商取引)によるグローバル化に弾みをつけている。これまで同社は、中国、シンガポール、タイ、台湾、韓国に進出。このうち、越境EC事業を本格的に展開しているのが中国と韓国の2ヵ国。2ヵ国は、海外における越境ECのモデルとなっている。

同社が中国市場で越境EC事業を始めたのは、2012年1月にアリババグループが運営する中国のECサイト「タオバオ」を通じてスカルプD等を販売。続いて2012年9月に中国越境EC専用サイト「Tmall」に出店した。
「Tmall」は、中国EC市場の約6割を占めると見られるB t0 Cサイト。同社は「Tmall」出店から3ヵ月後の2012年12月に中国現地法人を設立し、自社サイトでの展開を始めた。

しかし、中国での越境EC事業は、想定しているようなスピード感で展開をできたわけではない。その理由として中国進出する上で薬事申請等が問題になった。中国では、スキンケア用品に対する審査が、日本に比べて条件面で厳しく、申請から承認までにかかる期間が3年から4年もかかり、日本では全く問題なく販売できた商品が中国での薬事法では販売できないというケースが発生した。
このため、中国の現地法人は、主に仕入れなどの商品調達のみを行い、ブランディング等の販促は現地の代理店と連携して行うなどの施策を講じた結果、ここへきて中国でのブランド確立によるEC事業は軌道に乗ってきた。

2016年7月には、韓国市場での越境ECに乗り出した。自社サイトでの販売に加えて百貨店モールでの販売やコスメティック専門モールでの販売等を次々とスタートさせた。
同社の韓国における越境EC事業のビジネスパートナーとして市場調査や戦略提案、現地パートナーの紹介、現地言語での対応等をトータルにサポートしたのがIT企業のUZENである。

同社は、UZENが韓国EC市場を牽引している企業としての知行を得て、UZENから市場調査やブランディング、プラットフォーム構築に至るまでトータルでバックアップを受けた。
市場調査を行なった結果では「韓国人の消費者は、日本人の消費者と比較して自らを美しく保つことに対しての思いが強く、薄毛、脱毛に対する悩みも強いことがわかった」。加えて「男性専用の薄毛対策」という領域では競合が少ないことが判明し、韓国進出を決定づけた。2016年7月の販売開始から半年程度は、オンラインのみで販売を行っていたが、2017年3月から薬局などリアル店舗での販売も開始している。現在、シンガポール、中国、、韓国等でオンライン・オフライン両軸でのヘアケア市場に攻勢をかけており、グローバル化に一段と弾みをつけている。

#

↑